2021年8月14日から15日にかけて発生した豪雨で、鉄道や道路での物流にも影響が発生している。
中部地方では関東・東海と内陸を結ぶ中央本線が東西で寸断され不通となったが、同線は内陸の長野県への重要な物資、特に石油輸送の動脈だ。不通期間中の石油供給が逼迫する恐れはないだろうか。
石油輸送用の専用貨物列車が毎日運転
豪雨の影響で、8月15日に中央本線では線路水没や土砂崩れが発生、JR東日本管内の岡谷~辰野~塩尻間、JR東海管内の高蔵寺~塩尻間で運転を見合わせ、8月16日も同区間で運休が続いている。JR東日本は安全を確認次第、17日始発から岡谷~塩尻間の運転を再開する予定だ。
東京~名古屋間の中央本線は塩尻を境にJR東日本管内(中央東線)とJR東海管内(中央西線)に分かれるが、その両区間が不通となり、長野県への貨物列車ルートが遮断されてしまった。
内陸である長野県は、ガソリンなど石油燃料の供給を主に鉄道に頼っている。JR貨物が公表している2012年度の実績によれば、県に供給される石油の約8割が鉄道輸送だという。
中央東線・西線からともに石油輸送用の専用貨物列車が関東・東海の沿岸部から長野県内へ毎日運転されていたが、8月16日現在不通であり、鉄道による石油輸送が絶たれたことになった。
製油所備蓄と代替輸送で確保
中央東線は17日に運転再開予定だが、16日18時現在、中央西線の全線復旧見込みは立っていない。
復旧まで長野県への石油供給はどうなるか。J-CASTニュースが16日、JR貨物を利用した石油貨物輸送も行っている石油元売りのENEOS本社広報に取材したところ、
「長野県内製油所備蓄の在庫分と近隣地域からの道路による代替輸送の確保により復旧まで供給量を確保する見込みで、当面逼迫の恐れはありません」
と答えた。