「正直私たち施設側の自己満足ではないかという不安もありました」
J-CASTニュースの取材に応じた刈谷ハイウェイオアシスの広報担当者によると、デラックストイレの設計は鵜飼哲矢事務所(愛知県刈谷市)に依頼したという。フジテレビ本社設計担当などで知られる鵜飼哲矢さんが設立した一級建築士事務所だ。
ではなぜ同施設は、トイレにここまで力を入れたのだろうか。広報担当者はその背景をこう語る。
「当施設がオープンしたのは2004年12月になりますが、その当時は高速道路の休憩施設のトイレはただ用を足すのみの施設であり、どちらかといえば『汚い』『不衛生』というイメージが強かったと思います。
その中で刈谷ハイウェイオアシスを設計するにあたり、高速道路利用者のニーズを調べたところ、休憩施設の利用目的の大きな割合を占める要素が『トイレ』であることがわかりました。
そんな利用目的の大半を占めるトイレがただ用を足すのみの施設で本当のサービスといえるのか。
飲食スペースや売店の品揃えの充実だけではなく、トイレこそしっかりと整備し、質の高い空間にする必要があるのではないか。そのような考えから、『ゆっくりとくつろいでいただけるトイレ』を作ろうと考え、デラックストイレが出来上がりました」
おむつ替えスペースの構想は、おむつ替えを嫌がる赤ちゃんや、赤ちゃんと年齢の近い兄弟姉妹がいる場合を想定し、具体的にイメージを詰めたという。赤ちゃんの目の前に楽しいアニメーションが流れていたらアニメに集中しておむつ替えがスムーズになるのではないか。赤ちゃんと年の近い子供がおとなしく待っていられる仕掛けを設ければ、親の負担が軽くなるのではないか――。そうしたリアルな想定が実際に役に立っている。
広報担当者は、利用者からの声を受けて喜びを語った。
「正直私たち施設側の自己満足ではないかという不安もありました。ただ、今回このように実際に利用者の方が喜ばれている声を聞くことが出来ると、サービスの一つの在り方として満足していただけたと感じることができ、とても嬉しく思います」