問われる高校野球開催との整合性
7月23日の次に社説で五輪をテーマにしたのが8月1日。「五輪折り返し 安全・安心を見直して」の見出しで、活躍するアスリートにエールを送った。その上で、
「問題は、持てる力を存分に発揮できる環境を、主催する側が物心両面で用意しているかだ」
として、開幕後に起きている感染対策や酷暑対策の問題点を列挙。
「祭典を開催する側の姿勢と責任は、最後まで問われ続ける」
というで結ばれたが、「中止」や「中断」といった文言が登場することはなかった。
五輪は8月8日に閉幕する。翌9日から25日にかけて第103回全国高校野球選手権大会が行われ、8月24日にはパラリンピックが開幕。感染拡大が続く中、スポーツイベントが切れ目なく開かれることになる。
夏の高校野球は朝日新聞社と日本高校野球連盟が主催。試合は無観客で開催し、入場は学校関係者に限る。海外との往来の有無などの違いがあるとはいえ、五輪中止を主張しながら自社イベントを開催することの整合性は問われ続けることになりそうだ。
朝日の社説が最後にパラリンピックに言及したのは7月10日。この時点では、
「パラリンピックには選手の健康管理をはじめとして、五輪とはまた違った開催の難しさがある。これにどう臨むか。確かなのは、五輪と同じことを繰り返しては、人々の理解と支持は得られないということだ」
といった内容で、開催の困難さに言及するにとどめている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)