東海道新幹線も「食品輸送」を実験 「速達性」が秘める競争力、持て余し気味スペースも有効活用

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縮小傾向だった「車内販売」スペースの格好の活用法

   そもそも、食料品を運ぶとなると列車のどこに積み込めばよいのか。客室ではセキュリティや温度の問題がついて回るが、ぴったりのスペースが車内販売用の「車販準備室」だ。その名の通り、車内販売用の食材・機材のためのスペースだが、近年車内販売は新幹線でも縮小の一途だった。

   新幹線・在来線ともに優等列車での車内販売は縮小が続いていて北海道新幹線と九州新幹線では2019年に営業を廃止。JR東日本でも「やまびこ」「なすの」「たにがわ」では既に営業しておらず、販売品も縮小してソフトドリンクと菓子類・つまみ類の販売のみが続くにとどまっている。

   東海道新幹線でも「こだま」の車内販売は営業しておらず、「のぞみ」「ひかり」での営業にとどまる。いずれも休止・縮小の理由は、エキナカ・コンビニでの供食事情の充実に伴う需要の減少がある。各社はこのスペースに荷物を積み込み、駅から駅へと輸送している。「渡りに船」というわけでないが、各新幹線での物資輸送は、持て余し気味だった車販準備スペースの格好の活用法になっている。

   本来鉄道貨物のメリットは「大量輸送・定時性」にあり、自動車のように少量のモノをこまめに輸送するには適さない。しかし新幹線の高速を活かすことで、生鮮食品のように速達性に価値がつく品物を運ぶサービスで優位に立つことができるというわけだ。かつて検討された「貨物新幹線」のように1本まるごと貨物列車を仕立てずとも、このスタイルで新幹線の物資輸送は競争力を発揮できそうだ。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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