エヴァもガンダムWもなかった新潟が、今やマンガ・アニメで街づくり 「ガタケット」立ち上げ人の功績

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地方の二次創作イベントの主催、まさかの受賞に驚き

   ――第24回文化庁メディア芸術祭の功労賞を受賞した感想をお聞かせいただけますか。

「初めて第一報をお電話で頂いたときは変な声を上げていましたよね。いや、驚くというかね、日本語にすると驚くなんだけど、驚愕と当惑が入り混じったみたいな・・・。
メディア芸術祭については以前から知っていました。2013年の第17回に、コミティア実行委員会代表の中村公彦さんが功労賞を受賞されています。この時、嬉しくてすごく泣いたんですよ。『同人誌の世界がやっと国から認められる時代が来たんだ』って。でも中村さんは創作・オリジナルの即売会だから、まだ分かるんです。まさか自分が受賞というのは考えていませんでした。 私の一番の生業は『ガタケット事務局の代表』じゃないですか、『地方』の『二次創作がメインの即売会』の主催ですよ。頂戴できるとは夢にも思っていなかったです」

   ――「二次創作」へのイメージが変わってきているかもしれませんね。

「そうですね、イメージは変わってきています。同人誌違法サイト事件に関する2020年10月6日の知財高裁判決も意義深かったですね。
出版社も昔とは全然違ってきているように感じます。実際にある出版社の編集長さんから『これからうちの雑誌はどうしていくのがいいと思いますか』とアドバイスを求められたことがありました。二次創作の立場の代表に大手出版の雑誌の編集長さんからこのようなご質問をいただいたときは、差し出がましいことは言いませんでしたが、こんな話ができる関係性になったということがすごく嬉しかったです」

   ――贈賞理由についてはどのように受け止めておりますか。

「新潟の色々な催事の結節点の役割を果たされたっていう風に書かれていますが、もちろん僕一人の力ではない。ご縁がご縁を結んでいったひとつの結果として、そこに関わる皆さんと一緒に賞をいただいたと考えています。私は、たまたまその代表として頂戴しただけです
。 もう本当に今まで関わってきた皆さんにも、『おめでとうございます』って言いたいし『ありがとうございました』って言いたい!コロナ禍じゃなきゃ全員で『みんなで祝おう会』みたいなものをやりたいんですけどね」

   さらに坂田さんは、特にこの受賞を伝えたかった人がいると話す。コミックマーケット準備会の前代表・米澤嘉博さんだ。

「米澤さんに生きていてほしかったなって、メディア芸術祭の功労賞をいただきましたと伝えたかったです。その前に、きっと彼が彼が受賞していたでしょうけど(笑)一緒にお祝いできていればなと思うと非常に残念です」

   米澤さんは2006年10月、肺がんでこの世を去った。坂田さんは涙をこぼしながら、米澤さんへの思いをこぼしていった。

「彼との出会いがなければ、たぶんどこかで隘路にはまり込んでいたと思うんですよ。私にたくさんのご縁を繋いでくれました。
さらに、彼がマンガの世界に果たしてきた役割というのは尋常じゃありません。版権元と同人界がいい関係を築けるようになったのは、紛れもなくコミケットさん、米澤さんのご尽力によるものです。ご自身がマンガ評論家でもあった米澤さんにはマンガ評論家やマンガ家、『日本マンガ学会』等との接点があり、スタッフさんを含めそういう基盤のようなものがあって、コミケットは続けてこられたんだと思います。当時あいまいな存在であった二次創作を、無人の原野を、彼がかき分けた。米澤さんは同人界における最大の功労者だと思っています。本当に感謝しています」

   坂田さんは、米澤さんの功績を形に残していく必要があると強く訴えた。

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