エヴァもガンダムWもなかった新潟が、今やマンガ・アニメで街づくり 「ガタケット」立ち上げ人の功績

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新潟市のイベントに協力することに

   ――新潟市とイベントを行うようになったきっかけは何でしたか。

「新潟市の教育委員会生涯学習課(当時)が開催するイベント『生涯学習フェスティバル』です。1997年にその課の係長と担当者が私の家にみえられて、『今回のテーマはマンガとアニメで行きたいので協力してほしい。ここでガタケットを開催してほしい』と打診を受けました。同人誌はおろかマンガ・アニメが異質な文化と捉えられていた時代だったこともあるし、ガタケット創設から15年近くたっていたので、『遅まきなお声がけだなぁ』って思いつつも、『ようやく行政からお声がけいただけるような文化になったんだな』という喜びもすごくありました。また、視点を変えれば、行政と同人誌即売会のコラボレーションというのは、おそらく当時日本初の試みだったことを考えると、『遅まき』どころか、非常に画期的なことだったと、当時のご担当者さんには心より感謝をしています。 そうした経緯で、新潟市と協力し『生涯学習フェスティバル』内で『ガタケット』を開催しました。
さらにイベントに併せて、マンガのコンテストを開設しました。これは新潟市から『にいがたマンガ大賞』として継続事業にしていきたいと言われたので、いくつか条件を提示しました。我ながら生意気ですね(笑)そのうちの一つが、複数の出版社を大横断して一つの作品を見てもらえる場とすることです。当時は複数の出版社に見てもらえる機会がなかったんですよ、今でも少ないですけれども」

   なお、現在の新潟市のマンガ・アニメ事業は、新潟市文化スポーツ部文化政策課が推進している。

    ――現在、出版社を横断して評価してもらえる場と言えば「同人誌即売会」ですね。

「コミティア(編集部注:オリジナル作品限定の同人誌即売会)さんの出張編集部などですね。これを、コンテストと言う形で実施したのが『にいがたマンガ大賞』です。このご縁が今後の、新潟の発展に繋がっていきます」

   ――このご縁はどう繋がっていくのでしょうか。

「やっぱり『にいがたアニメ・マンガフェスティバル』(以降、がたふぇす)かな。2011年から新潟市と『がたふぇす』というマンガとアニメの催事を行っていくことになりました。人気声優やアニソンシンガーのステージ、作品展、痛車展示、コスプレパレードなど様々なイベントを開催しています。
当時、こうしたお祭りごとを『地方』でやるのは夢物語でした。大手のIP(知的財産)を持つ企業さんには『うちの目線は6大都市です。6大都市のシェアが8割なのはご存知ですよね』とハッキリ言われてしまいました。そう言われつつもその企業さんよりご協力を頂けたことには、今でも本当に感謝していますが、地方展開の厳しさは痛感しました。
しかし『にいがたマンガ大賞』で親しくなり交流を深めた出版社さんが、がたふぇすへの出展をご快諾くださりました。正直、当時のがたふぇすの予算は潤沢ではなかったですが、出版社さんたちがご尽力して下さったおかげで開催を続けることができました。
2013年に『新潟市マンガ・アニメ情報館』という常設施設ができた時も、ご縁の深かった各出版社さんや、がたふぇすでご縁の繋がった多くのアニメ制作会社さんにご協力いただきました。ここでは、新潟出身の作家さんを紹介する展示やちょっとしたアトラクションがあります。人気アニメ・マンガ作品等の企画展示なども行っています」

   ――やはり地方で人気アニメ・マンガ作品等の企画展を開催するのは大変なのですね。

「今は電子書籍やサブスク配信で状況が変わっていますが、新潟で見ることができなかったアニメはいっぱいありすぎて思い出せないほどです。テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』も『新機動戦記ガンダムW』もやっていなかった。マンガも地方に回ってくる物は限られている。レンタルや友人との貸し借りなどで必死に追っていました。SNSもなかったので、作品の感想を共有することが難しく、アニメ・マンガのいちファンとしても辛かったです。
そのため『新潟市マンガ・アニメ情報館』で企画展を実施することになった時、最初はプロモーターさんも版権元さんも『本当にやれるのか?』って空気感満載だったんですよ。でも『地元のファンはちゃんと見ているので大丈夫です』とプロモーターと版権元を説き伏せて開催し、東名阪でしかやってないような催事も新潟に持ってきましたね。結果は大成功。現在の新潟市マンガ・アニメ情報館では、新潟で放送していないアニメ関連の展示も行えるようになりました」

   こうして新潟市は、全国に先駆けてマンガやアニメを活用した街づくりを進めていく。坂田さんはガタケット事務局の代表として、新潟市の「マンガ・アニメを活用したまちづくり構想見直し検討委員会」に参加した。こうした活動が、第24回文化庁メディア芸術祭の功労賞の受賞につながった。

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