東京五輪・女子サッカーの日本対チリでの「ノーゴール判定」が、チリ国内で物議を醸している。
後半25分にチリの選手が放ったシュートはクロスバーを直撃し、ゴールライン付近に落下。これがノーゴールとジャッジされ、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)からの指摘もなかった。
チームのキャプテンは試合後、インスタグラムで「ビデオ審判はどこにいたの?」と怒りを吐露。チリメディアがサイト上で行った「ゴールは有効だったと思うか」を問うアンケートでは、8割を超えるユーザーが「ゴールは有効だった」と答えている。
選手は両手広げゴール主張も...
2021年7月27日、宮城スタジアムで行われた女子サッカー1次リーグE組の日本対チリの試合。1敗1分の日本は、勝てば決勝トーナメント進出が決まる一戦だった。
試合は日本が押し気味に進めるも、チャンスを生かせず。前半は無得点に終わった。後半もスコアレスのまま迎えた後半25分、物議のシーンが訪れる。チリのMF、フランシスカ・ララが味方のクロスにヘディングで反応すると、ボールはクロスバーを直撃。ゴールライン付近に落下したものの、日本のGK山下杏也加が外にかきだした。
シュートを放ったララは両手を広げてゴールを主張したものの、主審はこれをノーゴールと判定。VARからの指摘もなく、そのまま試合は続行した。この判定にララは頭を抱え、信じられないといったような表情を見せた。
その後、日本は後半32分に田中美南がゴールを奪うと、この1点を守りきり勝利。決勝トーナメントに駒を進めた。一方のチリは1次リーグ3連敗となり、大会から姿を消した。
現地メディア「論争や疑念は長く続くだろう」
試合後、敗退したチリ代表のキャプテン、クリスティアネ・エンドレル(GK)はインスタグラムを更新。後半25分の「ノーゴール判定」について、FIFA(国際サッカー連盟)と五輪の大会組織委員会に向けて、怒りのメッセージを発した。
「サッカーに正義をもたらすため、テクノロジーが導入されていると聞いています。でも、それってみんなにとっての正義なの?それとも、一部の人だけのもの?ビデオ審判はどこにいたの?」(編集部訳)
チリの現地メディア「redgol」も、試合後の記事でノーゴール判定について言及。「ラ・ロハ(チリ女子代表の愛称)はビッグチャンスを迎えたが、気まぐれなクロスバーがまたもやチームに『ノー』を突きつけ、賛否両論を巻き起こした」「ホンジュラスのメリッサ・ボルハス主審は、音声でVARを参照しただけで、チリのゴールを認めなかった。しかし、論争や疑念は長く続くだろう」とした。
この「redgol」は、サイト上で読者アンケートを実施。「チリの日本戦でのゴールは有効だったと思いますか?」という問いに対し、86%のユーザーが「YES」(残り14%が「NO」)と答えている。(日本時間28日14時時点、有効回答数2388)