脚を使って貝殻を背負うことで身を隠すカニ「カイカムリ」。その習性が生んだユーモラスな姿が、注目を集めている。
飼育スペースに用意された数種類の貝殻。もちろん、そのどれかを隠れ蓑にするかと思いきや、カイカムリが選んだのは、なんと...。
「いろいろあった上でそれ選んだの?!?」
カイカムリとは、その名の通り、貝などを被ってカモフラージュする習性があるカニだ。8本ある脚のうち前4本は歩行に、後ろ4本は貝殻を背負うために使われる。
この習性が生んだ光景が注目を集めている。
きっかけは、あるツイッターユーザーが2021年7月24日に投稿した「他にも沢山あるのにそれ背負うのはずるくない?wwwwwwwwwwww」というツイート。
あわせて投稿された写真は水槽の中のカイカムリを映したものだが、周囲に散らばる貝類を差し置いて、自らの名前などが記されたプラスチックの種名板を撮影者に見せるようにして背負っている。
投稿は27日昼時点で1万8000件以上リツイートされ、7万4000件超の「いいね」を集めるなど話題となり、
「説明文通りとは恐れ入った」
「最高の自己紹介しとる」
「いろいろあった上でそれ選んだの?!?」
「これが本当の看板を背負う」
などの反応や、「この子も可愛いけどこの魅せ方を思いついた方の発想が素敵すぎるw」という声が寄せられている。
話題となったカイカムリは、大阪市の水族館・海遊館と同じ運営会社が運営する「生きているミュージアム NIFREL(ニフレル)」(吹田市)で展示されている。
このような展示はいつから行われているのだろうか? J-CASTニュースはニフレルに取材した。
「代々のカイカムリが種名版を背負っています」
26日に取材に答えたニフレル広報担当は、水槽内にカイカムリなど生き物の種名版を展示するという方法は2015年の開館当初から行っていると答えた。
カイカムリの水槽には、ヒオウギガイやホタテガイといった貝類も入れているそうで、種名板を背負う姿が目撃されたのはタイミングが良かったためのようだ。似たような光景は過去にも目撃されてきたそうで、広報担当は、
「これまで代々のカイカムリが種名版を背負っています」
と説明する。
ちなみに、話題のカイカムリが背負った種名板には「背負います 貝・ホヤ・海綿 種名板」という句も載っている。これは、俳人・夏井いつきさん監修のもと「五七五」で生き物の生態を表現したものだという。
広報担当はネット上の反響について、「貝を背負うところを見て欲しいという思いからつくった展示」だとして、
「生態を知るきっかけになるのが嬉しいです」
というように受け止めていた。
なお7月25日には、開業してからニフレルのスタッフが誰ひとり達成できなかったという「カイカムリが種名板を背負う瞬間」の動画撮影に成功したとして、ニフレル公式YouTubeにその様子を投稿している。広報担当は「貴重な様子です」と喜びを表していた。