小沢健二の名曲が「現代のJ-POP」に与えた影響 モー娘。にAKB...大ヒット曲に見る共通点

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【連載】MUTEKI DEAD SNAKEのBUCHIAGARU!! music

   「渋谷系」という音楽ジャンルが、いま再び注目を集めている。

   渋谷系は90年代に東京・渋谷を中心に流行したジャンル。都会的で、おしゃれな雰囲気を持った楽曲が特徴だ。最近では、シティポップの流行も相まって、同シーンを特集した書籍の出版が続くなど、音楽ファンの間で再び注目が高まっている。

   そんな「渋谷系」の音楽シーンを牽引した存在といえば、シンガーソングライターの小沢健二さんだろう。

   元フリッパーズ・ギターのメンバーで、91年の解散後はソロで音楽活動をスタート。ラップグループのスチャダラパーと共演したシングル『今夜はブギー・バック』は大ヒットを記録、95年と96年には紅白歌合戦にも出場している。

   今回は、そんな小沢さんの代表曲「強い気持ち・強い愛」(Metropolitan Love Affair)に注目。音楽作家のMUTEKI DEAD SNAKE氏がその魅力を解説する。

  • 小沢健二「強い気持ち・強い愛」ジャケット(EMIミュージック・ジャパン)
    小沢健二「強い気持ち・強い愛」ジャケット(EMIミュージック・ジャパン)
  • 小沢健二「強い気持ち・強い愛」ジャケット(EMIミュージック・ジャパン)

改めて思い知る、作曲家・筒美京平の凄さ

   僕の周りでもファンの多い小沢健二さん。自分は90年代のブームをリアルタイムで体験した世代ではないのですが、唯一無二の個性に惹かれ、昔から楽曲をよく聴いていました。今回は小沢健二さんの楽曲の中から、個人的に大好きな「強い気持ち・強い愛」をピックアップして書いていこうと思います。

◆筒美京平節にBUCHIAGARU!!

   こちらの楽曲は、小沢健二さん本人が作詞を、そして日本を代表する作曲家である筒美京平さんが作曲をしています。

   作曲をしている人間に筒美京平さんから影響を受けてない人はいない!と言い切れるくらいの大レジェンドですが、やはりこちらの楽曲も筒美京平さんの素晴らしいメロディを堪能することができます。

   「強い気持ち・強い愛」のサビの構成に注目していただきたいのですが、こちらの楽曲では4小節の「強い気持ち 強い愛 心をギュッとつなぐ」の歌詞の部分のメロディを2回繰り返して、「今のこの気持ちほんとだよね」という短いフレーズでサビを締め括っています。

   実はこのような構成で作られているメロディが筒美京平さんの曲には多く、例を挙げますと小泉今日子さんの「なんてったってアイドル」も、TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」もサビの最初に4小節の印象的なフレーズを作成し、それを2回繰り返した後に短いフレーズでサビを締め括る、という構成になっています。

   このような構成で作られているサビは現代のJ-POPではなかなか見ることがないなと思いますし、そもそも長い歴史の中でここまですっきりとした構成のサビで名曲を作り上げた方はほとんどいないのではないかと思います。

   理由としては、たった4小節でインパクトを与えることができ、なおかつ全く同じものを繰り返しても飽きないようなパンチがあるフレーズをほとんどの作曲家に作ることができなかった、ということなのではないかなと思います。

   もちろん現代ではメロディの情報量が増え、サビの長さも、音数の多さも、昔の楽曲と比べるとかなりインフレしていると思うのですが、そんな中でも筒美京平さんの作るメロディには学ぶものがあるなと思いますし、いつ聴いても古くない素晴らしいものが多いなと思います。

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