横浜市長選の不出馬を表明した横浜DeNAベイスターズの初代球団社長・池田純氏について、球団社長在任時に「多額の経費不正使用」があったと、複数の週刊誌が報じた。
デイリー新潮の2021年7月15日記事によると、池田氏は「忍者ハットリくん」「未来少年コナン」などのアニメのDVDボックスセットに46万円、DeNAの本拠地・横浜や春季キャンプ地・沖縄での夜遊び代金などが経費で使用されていたという。
「新たな活動探しの時間に入ります」
横浜市出身の池田氏は住友商事、博報堂などを経て、07年に株式会社ディー・エヌ・エーに入社。11年にDeNAベイスターズの初代社長に就任し、16年まで社長を務めた。
11年からの5年間で横浜スタジアムの友好的TOB(株式公開買い付け)を実現し、年間24億円あった赤字を解消して5億円を超える黒字へと転換。観客動員数も110万人から194万人に増やしたことを公言している。
ファンからの支持が高いのもこの功績が大きいのだろう。その後は日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)特任理事、日本ラグビーフットボール協会特任理事、プロバスケットボールB3リーグ所属・さいたまブロンコスのオーナー兼取締役を歴任した。
池田氏は、デイリー新潮などの報道が出る直前の9日に自身のツイッターで、
「本日のサンケイスポーツでお伝えしましたが、横浜市長選出馬はありません。今後のまったく新たな活動探しの時間に入りますので暫くTwitterはお休みします。変わらぬご指導ご鞭撻をよろしくお願いします」
と投稿している。
同日のサンケイスポーツでは「私は一度も公に出馬を表明してはいません。ただ、いったんは覚悟を決め、悩み、横浜のことを本気で考えてきたのは事実です。ご期待の声も頂きました。そして候補者が乱立した今、意義が失われてしまいました」と出馬を断念した理由を語っている。
思い返される8年前のトラブル
DeNAの元球団職員は池田氏について、「DeNAファンを中心に世間では、『DeNAを人気球団に立て直した救世主』と評価されていますが、実態は全く違います」として、次のように語る。
「シーズン中に波留(敏夫)コーチ(現中日2軍打撃コーチ)と些細なことから口論になった時は、選手たちが『波留コーチをクビにしたら許さない。あの社長をどうにかしてください』と訴えてきて、球団職員が謝っていました。知る限り選手たちの評判は最悪でした」
波留コーチと池田氏のトラブルは2013年のことで、当時のスポーツ紙にも報じられている。同年7月9日の日刊スポーツ記事によると、池田氏は「普段から意見交換はある。口論なんてなかった」などとトラブルを否定していた。
翻って、2021年6月下旬には新著「横浜改造計画2030」を宣伝するため、バスの車体に池田氏の写真などが印刷されたド派手なラッピングバスが横浜市内で見られるようになり話題に。「横浜市長選に出馬するのか」と話題になったが、市政の関係者は冷ややかだった。
「立憲民主党から推薦の打診があって断ったことを話していましたが、水面下での出来事をベラベラ話すべきではない。『しがらみにまみれた政治家になりたくない』というメッセージだったのかもしれないが、出馬しても有権者の支持を得られたかと言うと疑問です。
正直、そんなに知名度が高いわけではない。万が一市長になってスキャンダルが出るより、今回の報道が出て出馬を断念した方が有権者、本人にとってもよかったでしょう」(横浜市政関係者)
「新たな活動探し」の時間に充てている池田氏は何を思うか――。
(中町顕吾)