手足3本失った男がYouTubeで与える「勇気」 開設から1年、彼はなぜ発信を続けるのか

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YouTubeを開設したきっかけ

   孤独に自分を追い込んでいた入院生活。だが、徐々に心境が変化する。病院のスタッフは毎日気さくに話しかけてくれる。「取り返しのつかないことをした。父さん母さん、ごめん」と自分を責めても、両親は「生きててくれてありがとう」と言ってくれる。忘れられないのは友達が見舞いに来た時。「元気そうじゃん」。一言目がそれだった。けがの話は一切なく、3時間談笑した。そんな人々に囲まれて過ごすうち、前向きさを取り戻していった。

「勝手に『悲劇のヒーロー』みたいに思い込んでいたけど、独りじゃないんだよなと気付きました。事故に遭ってから何よりも変わったのは、周りの人に対する感謝の気持ちですね。昔は親に対してもなめくさった態度をとってたんですけどね。悪ガキでしたから」

   自立する。そのために、22歳で社会復帰すると同時に一人暮らしを始めた。ヘルパーなどは利用していない。掃除、洗濯、炊事など、全て自分でやる。実家暮らしの頃はほぼ家事未経験。だから「最初は何もできなかった」。

   弁当作りは冷凍食品のオンパレードから始まった。写真を撮って自慢げに親に送ると、最初は褒められたがすぐにダメ出し。「なにくそ」という思いで料理の腕は上達した。今では綺麗な卵焼きも朝飯前に作れる。

   そんな日々の生活を、インスタグラムやツイッターなどで発信するようになった。投稿を続け、見てくれるフォロワーが増えることで「サボれない環境」を自ら作る。それはモチベーションになると同時に、人とのつながりも生んでいった。

   YouTubeを開設するきっかけになった出会いがある。生まれつきの脳性麻痺で車いすユーザー、そしてYouTubeチャンネル「寺田家TV」で活動する寺田ユースケさん。出演の打診を受け、2020年3月公開の動画に出ると、反響が広がった。動画を介して山田さんのSNSを訪れるユーザーが増えた。

   興味を持ち、5月ごろから自分のチャンネルを持つ準備に入った。開設日はその時から決めていた。2020年7月24日。事故が起きた日からちょうど8年にあたる日から、「山田千紘 ちーチャンネル」は始まった。

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