東京五輪のサッカー競技を観戦する子供らについて、茨城県鹿嶋市立のある学校が「飲料はできるだけコカ・コーラ製で」などと保護者側に伝えていたことが分かった。
子供を商戦に巻き込むな、などとネット上で疑問も相次いでいるが、市教委は、そのようなことは案内していないと否定した。どんな状況になっているのだろうか。
通知では、「他社製の飲料を持参する場合は、ラベルをはがして」とも
保護者への学校の通知は、2021年7月18日にツイッター上で、該当部分の写真が投稿された。
鹿嶋市立小中学校では、7月22、25、27日の計3日間、引率する教員らも含めて3600人強が市内のカシマスタジアムでの観戦を予定している。
通知では、大会会場規定で、750ミリリットル以下の水筒かペットボトルを1本まで持ち込みできるが、鹿嶋の児童・生徒は、2本まで持ち込みできるとし、ペットボトルについて次のように記した。
「できるだけ、コカ・コーラ社が製造している飲料をお願いいたします、他社製の飲料を持参する場合は、ラベルをはがして持ち込むようお願いいたします」
この内容について、ツイッター投稿者は信じられないと疑問を呈し、8000件以上もリツイートされている。
様々な意見が寄せられており、学校の通知を疑問視する声も多い。「子供にどのように説明すればいいのか」「商業主義に子供を巻き込むなんて」「教育的にもマイナス」などと書き込まれている。
一方で、「水筒でなくペットボトルを持ち込むなら、当たり前の配慮だ」「その場でラベル剥がしたり、ボトル入れやタオルで巻けば良い」「目くじら立てなくてもいいと思う」といった意見もあった。
学校の通知について、市教委のスポーツ推進課は7月19日、J-CASTニュースの取材に、次のように説明した。
市教委「すべてのペットボトルでラベルをはがすよう案内している」
「こちらでは、できるだけコカ・コーラ製の飲料でとは学校に伝えていません。教育委員会としては、すべてのペットボトルでラベルをはがすようにと案内しています」
同課によると、7月9日に、五輪の大会組織委員会と市教委、学校との会合があり、組織委の担当者は、会場には原則としてコカ・コーラ製以外のペットボトルは持ち込みできない、もしそれ以外を持ち込むときはラベルをはがしてほしい、と説明した。
しかし、市教委では、コカ・コーラ製以外のラベルをはがすよう伝えれば、子供達がなぜなのかと疑問を持つほか、統一性がなく、はがし忘れて受付で注意されることも増えると考えた。混乱を生むとみて、すべてのラベルをはがしてもらうことにしたという。
学校が通知を出した理由については、こう話した。
「学校は、こちらの案内も把握していましたが、大会組織委員会の説明を元に、丁寧に保護者向けの文を書こうとしてあの通知になったのではないかと思います。ただ、できるだけコカ・コーラ製などという表現は、誤解を受けてしまいます。学校は、間違ったことは言っていませんが、表現に注意してほしいと伝えました」
こうした通知を出したのは、この学校だけだという。
日本コカ・コーラの広報担当者は19日、「詳細を把握しておらず、状況が分かりませんので、コメントは控えさせて下さい」と取材に答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)