大相撲名古屋場所千秋楽が2021年7月18日、ドルフィンズアリーナで行われ、横綱白鵬(36)=宮城野=が大関照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=との全勝対決を制し、45回目の幕内優勝を飾った。
千秋楽結びの一番は、白鵬、照ノ富士の長いにらみ合いで始まった。両者土俵上で立ったまま鋭い視線をぶつけ合った。照ノ富士が先に腰を下ろし白鵬が続く。そして注目の立ち合い。白鵬は左で張ると右からかち上げた。これが照ノ富士のアゴを直撃した。
北の富士氏「あきれて物が言えないな」
白鵬は左に回りながら張り手を連発させ右を差して左上手を取った。土俵上中央で胸を合わせ、左から投げを繰り出し粘る照ノ富士に対して強引に小手投げにいき、土俵に叩きつけた。その瞬間、白鵬は「ウォー」と叫びながら右腕を振り上げガッツポーズ。なりふり構わず復活優勝を手繰り寄せた。
進退をかけた復帰場所、優勝のかかった大一番でのかち上げ。ルールに違反しているわけではないが、過去には横綱審議委員会からこのような荒々しい取り口に関して苦言が呈されたこともあった。
NHKの大相撲解説を務めた舞の海秀平氏は「また立ち合い肘打ちいきましたね。照ノ富士の顔面を狙って肘が飛んでいきましたね」と、かち上げを「肘打ち」と表現し、「精神的にも肉体的にも余裕がないからこそああいう相撲を取るんでしょうね」と指摘した。
またこの日放送されたNHK大相撲中継の冒頭では、14日目の大関正代(29)=時津風=との一番を解説陣が振り返った。
白鵬は立ち合い、仕切り線から大きく離れて立った。大関相手に横綱がとった「奇策」に、解説者の元横綱の北の富士勝昭氏は「あきれて物が言えないな」とこぼし、「一番勝負ですから何が起こるか分からない。けどもかといって44回優勝した大横綱がですよ、やっぱりやっていいことと、いけないことがあるんじゃないかと思うんですよ」と苦言を呈した。