グーグル社の見解は
弁護団の一人で、京都大法科大学院客員教授(消費者法)の住田浩史弁護士は7月14日、J-CASTニュースの取材に、グーグル社からの回答はいまだないと明かす。申入書では、レスキュー商法を繰り返す特定業者の広告停止も要請していたが、「停止されていないと思います」と肩を落とす。
住田氏によれば、レスキュー商法は昔から行われていたものの、近年では営業手法が変化しているという。
「以前はマグネットが広告媒体になっていました。ポストに投函して冷蔵庫などに貼ってもらい、トラブル時に電話させる、というのが主流でした。今はトラブルが起きたら携帯やパソコンで調べる人が多いでしょう。リスティング広告で上位に出てくる事業者は信頼できる、グーグルからお墨付きをもらっていると思ってしまう人も少なくないようです。広告と認識できていない消費者もいます。
水回りの修理であればすぐに来てもらわないといけないですし、じっくり検討する時間もないので、検索上位に出てきた業者に依頼してしまう。レスキュー商法とリスティング広告は非常に相性が良いわけです」
グーグル社には、巨大プラットフォーマーとしての責任があるとの考えだ。
「リスティング広告は広告市場でかなりの比重を占めています。インターネットの検索で上位に出てくるということはサービスやモノの品質が高い証だ、として信頼する消費者は多いから、広告効果が高いのです。グーグルはそれをわかっているわけですから、それに応じた調査義務がある。もし知っていて放置しているのであれば責任が生じると考えます」
2020年のネット広告費は1兆7567億円で、手法別ではリスティング広告が38.6%と最多を占めた。公正取引委員会の調査では、2019年度のリスティング広告の市場シェアはグーグルが70~80%と独占的な地位にある。
被害に遭わないためにはどうすれば良いのか。
住田氏は「検索結果が汚染されている状況なので、基本的には広告枠や検索上位に出てくる業者だからといって必ずしも信用はできません。多くの費用を投じて広告出稿しているということは、その分、代金に上乗せされ消費者に転嫁されている可能性もあります」と助言し、
「インターネットで探すにしても、会社が遠方である、そもそも実店鋪があるのかどうかわからないとか、運営会社がどこかがはっきりしない業者などは、選ぶべきではありません。
また、水回りであれば、地元自治体の指定工事業者や地元の管工事業協同組合加盟業者から選ぶのがよいでしょう。その場合でも、説明がない、見積もりがないなど、不親切や不誠実な業者は、避けるべきです。もちろん、相見積もりを取ったり、近所での口コミを参考にしたりするのも有効です」
とする。
被害に遭った場合は、特定商取引法のクーリングオフ(契約解除)が適用できる可能性があり、消費生活センターや消費者問題に詳しい弁護士への相談を勧める。クーリングオフ期間を過ぎても返金を受けられるケースもあり、住田氏は「あきらめないで欲しい」と呼びかける。
グーグル日本法人の広報担当者は7月16日、J-CASTニュースの取材に「個別事案についてはお答えできない」として、次のように答えた。
「グーグルでは、広告をすべてのユーザーにとって安全かつ適切なものに保つために、システムによる自動評価と人による評価を組み合わせて、掲載される広告はグーグルの広告ポリシーに準拠していることを審査しています。
ポリシーには、不実表示に関するポリシーも含まれ、ユーザーを騙す目的で商品に関する情報を故意に掲載しなかったり、商品やサービス、ビジネスについて誤解を招く情報を表示したりしている広告やリンク先は禁止しています。その他の広告ポリシーにつきましてはこちらでご確認いただけます。
グーグルの広告掲載ポリシーに違反している可能性がある広告にお気づきになった場合は、こちらよりご報告いただくようお願いしています。
また、グーグルでは、ユーザーにとって安全で利便性の高い環境を構築するために、表示された広告に関するユーザーからのご意見を傾聴しているほか、オンラインのトレンドや実践手法の変化、業界標準や規制の変更についても継続的に確認しています」
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)