井上尚弥のWBAバンタム級なぜ「王座乱立」 コロナも影響か...興行減って「認定料」で稼ぎたい?

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   ボクシングの米大手プロモーション会社「プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)」は2021年7月15日、WBA世界バンタム級暫定王座決定戦を8月14日に米カリフォルニア州カーソンで行うことを発表した。

  • 井上尚弥(編集部撮影)
    井上尚弥(編集部撮影)
  • 井上尚弥(編集部撮影)

WBAは以前から王座乱立の傾向に

   暫定王座決定戦には同級2位アントニオ・ラッセル(米国)と同級7位エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が出場し、両者によって王座が争われる。この興行のメインは、WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)とWBA世界バンタム級レギュラー王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)のタイトル戦となる。

   WBAのバンタム級は、井上尚弥(大橋)がスーパー王座に君臨しており、リゴンドーがその下に格付けされるレギュラー王座に就いている。そして今回、暫定王座決定戦が行われることで同じ階級に3つの王座が同時に存在することになる。

   現在、世界の主要団体として認知されているのはWBA、WBC、WBO、IBFの4団体だ。これらの団体は、各団体が設定する世界王座をはじめ地域王座などのタイトル戦を認定することで得る「認定料」が主な収入源となる。タイトル戦が増えれば、おのずと団体の収入も増えるシステムになっている。

   本来ならば世界王者はそれぞれの階級に1人が原則となるが、WBAとWBCは同じ階級に複数の王座を設定することがあり、とくにWBAは以前から王座乱立の傾向にある。その一方で、WBO、IBFは王座乱立を良しとせず毅然とした姿勢を見せており、同階級に複数の王者が存在することはほとんどみられない。

金平会長「ビジネスが止まってしまう危機感に拍車が」

   WBAが設定する王座は、スーパー王座、レギュラー王座、ゴールド王座、暫定王座と4つの王座が存在する。WBAは一時、暫定王座を減らしていく姿勢を見せていたが、現在のランキングをみるとその意向はあまり反映されていない。

   WBAの王座乱立は今に始まったことではないが、なぜこのようなことが起こるのか。J-CASTニュース編集部は、プロモーターとして数々の世界戦を手掛けてきた協栄ジムの金平桂一郎会長(55)に話を聞いた。

   金平会長はあくまでも会長個人の意見という前提で次のように語った。

「以前からWBAは王座乱立の傾向にあると思いますが、昨年からの新型コロナウイルスの影響もあると考えております。全体的な興行数が減っており、選手がコロナウイルスに感染して防衛戦が途絶えたり、不安定な状況にあります。WBAの立場に立つと、認定料のビジネスをしていますから経済事情も勘案してタイトル戦をやっておきたいところでしょう。空きがあれば王座を作ってしまおうという意図がみられる。ビジネスが止まってしまう危機感に拍車がかっているように感じます」(金平会長)

金平会長「目くじらを立てずに建設的に考えると...」

   金平会長は団体のビジネス的な側面を指摘しつつ、興行を手掛けるプロモーターサイドの意向も強く反映しているという。

「日本では暫定王座を嫌いますが、海外ではタイトルマッチという冠がないとお客さんやスポンサーが集まらず興行が成立しないケースもあります。海外では暫定王座でもいいからタイトル戦として認定してほしいと団体に要請するプロモーターやマネジャーは決して少なくありません。団体はこの要請に応えているという側面もあります。このようなケースは世界中でみられます」(金平会長)

   また、金平会長は今回の暫定王座決定戦などの王座乱立に関して「目くじらを立てずに建設的に考えると、井上選手への挑戦者決定戦という形でいいカードが組まれたと思えば腹も立たないのではないかと思います」と締めくくった。

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