プロ野球の緊張感、コロナ禍で増した? 減った選手間の私語...球界からは歓迎の声

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   コロナ禍でプロ野球のあり方も変わった。昨季は120試合制となり、セ・パ両リーグで初となる無観客で試合が開催された。

   今季も観客は入場制限が続き、9回打ち切りのルールで開催されている。報道陣は感染防止対策で首脳陣、選手に試合前に取材できないため、記者席や観客席から練習を見つめることになる。在京のスポーツ紙記者はコロナ禍で「ある変化」に気づいたという。

  • プロ野球の雰囲気が変わった?(画像はイメージ)
    プロ野球の雰囲気が変わった?(画像はイメージ)
  • プロ野球の雰囲気が変わった?(画像はイメージ)

「今ぐらいの距離感がちょうどいいかな」

   無観客での試合について、選手たちは「スタンドに誰もいない風景に違和感があった。入場制限がかかったけど、お客さんが入った時は本当にうれしかった」と口をそろえていた。

   ただ無観客試合をめぐっては、これまで気づかなかった「新たな発見」も。鳴り物による応援や観客の歓声がないため、快速球がミットに収まる音、バットがボールを弾く音などが鳴り響く。野球ファンからは「観客を入れても鳴り物の応援を見直すべき」という声も聞かれた。

   そんなコロナ禍のプロ野球について、先述の記者は次のように話す。

「ビジターチームの選手がストレッチしている時に、仲の良いホームチームの選手が駆け寄ってそのまま長話する光景が珍しくなかった。でもコロナ禍では周囲の目があるし、長々と話すわけにはいかない。高校、大学の先輩、後輩の間柄でも最低限の挨拶で済ますことが多くなり、試合中も塁上で選手同士の雑談が減ったように感じます」

   ある球団の首脳陣は、この変化を歓迎している。

「今の選手たちはチームの垣根を超えての交流が多い。侍ジャパンがあるのが大きいかもしれない。でも昔は、他球団の選手と一緒に自主トレをすることなんて考えられなかった。星野仙一さんも中日の監督時代は、『相手の選手と話すな』って言っていたしね。昔は乱闘が多かったのもそのせいでしょう。相手チームと仲が良いのは悪いことではないけど、緊張感に欠けるなとは思う。お客さんがどう感じるは分からないけど、今ぐらいの距離感がちょうどいいかな」

コロナ禍で「ピリピリ感」出てきた?

   確かに、一昔前は死球や接触プレーを巡る乱闘が珍しくなかった。

   巨人・クロマティは87年6月11日の中日戦(熊本)で死球を与えられると激高。マウンド方向に詰め寄ると、宮下昌己に右ストレートを浴びせた。西武・清原和博は89年9月23日のロッテ戦(西武球場)で死球を受けると、バットを平沼定晴に投げてヒップアタックした。

   選手だけではない。「闘将」の異名を取った星野仙一監督は乱闘で輪の中心に入る。迫力満点だった。中日で指揮をふるっていた90年5月24日の巨人戦(ナゴヤ)で危険投球に抗議し、ヤジが飛んだ巨人ベンチに詰め寄ると、制止にかかった巨人・水野雄仁の帽子を吹き飛ばした。

   乱闘については、「子供の前でみっともない」と批判の声が上がる一方、「真剣勝負の延長線で執念は伝わってくる」と肯定的な意見も見られる。

   都内に住むヤクルトファンの男性(43)もその一人だ。「乱闘を肯定するわけではないけど、今は塁上で選手同士がニコニコ話している姿をよく見る。『ガチンコ感』がないんですよね。今はコロナのせいかそういった選手同士の交流が減って、試合もピリピリした雰囲気が伝わってくる。個人的にはこの方がいいですね」。

   乱闘は推奨されるべきではないが、ユニフォームの違う選手たちが塁上で談笑する光景に興ざめする野球ファンの気持ちも理解できる。選手同士の「距離感」も熱戦を彩る上で重要な要素なのだ。

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