集英社は2021年7月15日、昨年末に受注販売した「『鬼滅の刃』複製原画セット」について、「編集部の誤った判断」で不備があったと謝罪した。商品の交換・再販売に応じるという。
同商品をめぐっては、SNS上で購入者から「サンプル写真と違う」「これは複製原稿ではない」といった声が寄せられていた。
当初は作り直す予定はなかった
「『鬼滅の刃』複製原画セット」は、20年12月に開催された「ジャンプフェスタ 2021 ONLINE」で受注販売された商品だ。大人気マンガ「鬼滅の刃」の「複製原画」として、3万8500円(税込)で販売した。商品内容は同作の204話の原稿33ページ分を複製したもので、「高精細な印刷で原画を忠実!」と紹介していた。
4月になって同商品が発送されると、SNS上では購入者から「予想していたものと違う」などと疑問の声があがった。一般的な「複製原画」商品は、編集部に提出された原稿をそのまま再現した商品であり、下書きの跡やアシスタントへの指示などが残されたものとされる。しかし「『鬼滅の刃』複製原画セット」は、コミックや雑誌に掲載されたものに近い状態だった。
また同商品の紹介ページでは、従来の複製原画のように原稿の端まで絵が描かれたものをサンプル画像として掲載していたが、実際の商品は断ち切り線あたりで絵が見切れてしまっていた。
こうした声に対して集英社は当初、編集部が監修した通りに制作した商品であることから「作り直しはできない」と説明していたという。しかし、サンプル画像と現物が違うという点については、表示に問題があったとして返品・返金対応を行っていた。
しかし集英社は21年7月15日、不備を認めて謝罪し、作り直しと交換対応に応じると発表した。
「『複製原稿』という商品名で販売すべきではなかった」
発表によれば、6月に鬼滅の刃の作者である吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんから商品について確認があったという。これを受けて経緯を見直したところ、「作者への説明と確認手順が不十分な状態」で仕様を決定したことが判明した。
集英社は、この商品で行われた画像補正やトリミングなどの仕様は「作者の意向を汲んだものではなく、編集部の誤った判断に基づくもの」だったとする。そして、「『複製原稿』という商品名で販売すべきではなかったと深く反省しております」と述べた。
購入者には、画像補正やトリミング位置を見直した商品を作り直し、交換・再販売に応じるとしている。商品の新規発売はしない。集英社は、
「商品を購入されたお客様には、多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今後、『複製原稿』を商品として企画する場合には、必要な事項を明確にし、適切なものをお届けできるよう努めて参ります」
と謝罪し、再発防止に努めるとした。
また、同様の指摘が相次いでいた「週刊少年ジャンプ2020年24号」応募者全員大サービスの「『鬼滅の刃』まるごと複製原稿セット mini」についても交換対応をすると発表した。詳細は7月26日12時に「週刊少年ジャンプ」公式ウェブサイトで伝えるという。
「『鬼滅の刃』複製原画セット」に関するお詫びと作り直し・交換対応についてのお知らせ pic.twitter.com/5ijdPVBeq9
— 鬼滅の刃公式 (@kimetsu_off) July 15, 2021