2021年7月11日に東京・江東区の会場で開催されたアイドルライブイベント「アイドル甲子園」は、開催中に激しいゲリラ豪雨に襲われた。滝のような大雨によって会場は水浸し。野外ステージは中止となり、屋内には沈んだ表情を浮かべた観客たちが押し寄せた。
この雨でずぶ濡れになってしまった観客に向けて、イベントに出演していたアイドルグループ「ワールズエンド。」は、税込3500円で販売予定だったTシャツを無料で配布した。この取り組みがSNS上で「神対応」だと話題になっている。
J-CASTニュースは、「ワールズエンド。」の担当プロデューサーに当時の状況を取材した。
「グループの出番だ!」というタイミングでイベントは中断
「ワールズエンド。」は、「つまらない人生に最高のドラマを。」をキャッチコピーに活躍する5人の女性アイドルグループだ。11日に開催された「アイドル甲子園」で、17時ごろから屋内ステージでのライブを予定していた。まさにゲリラ豪雨が直撃した時間帯である。
会場は、東京・新木場のイベントホール「USEN STUDIO COAST」。気象庁によれば11日17時、新木場近くの観測地・江戸川臨海では1時間で53ミリの降水量が確認された。当時、SNS上には「新木場アイドル甲子園水没オワタ」「地獄絵図」などと阿鼻叫喚の声が寄せられている。
プロデューサーは、「急に尋常じゃない位の雹が降ってきて前が見えなくなって(車の)走行出来なくなるレベル」だったと振り返る。そして「いざ自分のグループの出番だ!」というタイミングで、イベントは一時中断されることになってしまったのだという。イベント主催による客の安全対策のための協議が挟まれたためだ。
プロデューサーによれば、盛り上がっていたフロアは一気にどんよりしはじめ、皆がスマホを触りだしたという。
「メンバー一行は間一髪ゲリラ豪雨が来る前に会場入り出来た様だったので安心しましたが、自分が会場に着くと野外のステージが全部潰れていました。
雨に降られてびしょ濡れの人達が屋内に押し寄せているのが見えて、この時に何か出来ないかなと思いました」
ピンチをチャンスに変えたプロデューサーの機転
プロデューサーは「ワールズエンド。」公式ツイッター上で、「びしょ濡れさんを救いたい」としてこう呟いた。
「本日の物販で販売予定だった新作Tシャツを【無料】で配布します。無くなり次第終了となります。せめてあったかくしてお帰りください」
なんと3500円(税込)で販売予定だった新作Tシャツを無料で配布するという太っ腹な行動に出たのだ。企画は想定以上に好評で、Tシャツは足りなくなってしまったという。
「実はキャリーバック一つに入る分(30枚程度)しかTシャツの用意がなかったんです。
なので列に並んでくれた1/10程度の人にしかプレゼント出来ていません。めちゃくちゃ文句言われるんだろうなと覚悟してましたが貰えなかった方からも心意気が素晴らしいと感謝されたりしてビックリしました」
企画を告知するツイートには「こんな神対応きいたことない」「さすがに太っ腹すぎ」と驚く声や、「救われました ありがとうございます」などと感謝の声が寄せられている。こうした反響に対してプロデューサーは、30枚しか配れていないのに申し訳ないと、恐縮そうだった。
さてこの豪雨の中、肝心のライブはどうなったのだろうか。プロデューサーによれば、Tシャツ企画が功を奏したこともあってか、大盛況を収めたそうだ。
「協議が明けてライブが再開するまでお客さんがちゃんと帰らず待っていてくれて、むしろ次から次へとフロアに人が増えていき、そこにメンバーがしっかり熱いパフォーマンスをぶつけてくれたのでシュチュエーションも相まってとても盛り上がりました。
こんな機会がないと普段ウチのグループのライブを見ないようなファン層の方にも沢山見て頂けたこと、Tシャツの企画のおかげで知らない人にまで感謝されたこと、野外ステージはゲリラ豪雨以降中止になりライブが出来ていないグループさんも多数いることを考えると本当に運と天候に恵まれたなと思います」
「ワールズエンド。」は7月9日、セカンドアルバム「カルチャー・クラシック」をリリースしている。プロデューサーは「これも何かの縁なので是非一度聞いてみて頂けると幸いです」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
【びしょ濡れさんを救いたい】
— ワールズエンド。【公式】 (@worlsendinfo) July 11, 2021
今日をどれだけ楽しみにしてきたことか…せっかく新木場まで来たのにびしょ濡れになった…ぴえん
という方を救いたい。
そんな訳で本日の物販で販売予定だった新作Tシャツを【無料】で配布します。無くなり次第終了となります。
せめてあったかくしてお帰りください pic.twitter.com/TMWeJC2Jua