米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手は2021年7月12日(現地時間)にオールスターゲーム(コロラド州デンバー)前日のホームランダービーに出場し、2度のタイブレークの末、1回戦で敗退した。
翌日の試合では「先発登板」「1番DH」のリアル二刀流で出場予定の大谷選手。ネット上では、大谷選手の疲労を心配する中、「負けてよかった」「半分ホッとしてます」という声が聞かれている。
「疲れました」インタビューで繰り返す
今シーズン、ここまで大リーグトップの33本塁打を放っている大谷選手。日本人初出場となったホームランダービーでは、1回戦でナショナルズのソト選手と対戦した。先攻のソトは、3分の持ち時間と1分間のボーナスタイムで、合計22本のホームランを放った。
後攻の大谷選手は、大歓声を受けながら登場。初めは打球が全く上がらず、開始30秒時点で本塁打は0。会場が静まり返る中、50秒経過でようやく1本を放つ。1分40秒経過時には5本塁打でタイムアウト(休憩)。ここから量産体制に入り、ボールを次々とライトスタンドへ放り込んだ。最終的には3分間で16本、ボーナスタイムで6本を放ち、合計22本でソトに並んだ。
同数のため、1分間のタイブレーク(延長戦)に突入した。先攻のソトは6本を放ち、合計28本に。しかし後攻の大谷も同様に6本で、再びのタイブレークに入った。3スイング限定のサドンデス制となった再延長では、先攻のソトが3スイング連続で本塁打を放った。追い込まれた大谷選手は初スイングでゴロを放ち、万事休す。激闘の末に、1回戦で敗れた。
タイムアウト中、そして持ち時間を終えるたび、膝に手を当て、うつむいた大谷選手。敗退後のインタビューでは「疲れました。最後の30秒がすごく長くて疲れました」「疲れましたけれど、これから休んで明日に備えたいです」。それでも「楽しかったです。何とか勝ちたかったですけれどね」と話した。
「決勝まで行ってたら...」
ホームランが出ない状況から巻き返し、2度の延長戦に持っていった大谷選手。ツイッター上では「最初はどうなることかと思ったけど、追い上げ方がやっぱりトップクラス」「残念だけど延長まで行ったのは流石!」「メチャクチャ楽しませて貰いました!」と称賛の声が広がった。一方で、こんな声も聞かれている。
「初戦で負けて半分ホッとしてます」
「あれだけ疲れていたから負けて良かったかも」
大谷選手は明日の試合、1番DHで出場、さらに先発登板の「リアル二刀流」を予定している。「一刀流」の他の選手より負担の大きい大谷選手だけに、「決勝まで行ってたら明日投げられないんじゃないの?」「体もたなくなる」と、敗退による疲労軽減をポジティブに捉える向きが目立っている。
ホームランダービー出場者は、その過酷さからバッティングの調子を狂わせ、後半戦に成績を落とす、というジンクスもある。今回オールスターに選ばれたタティスJr.(パドレス)、ゲレロJr.(ブルージェイズ)、ジャッジ(ヤンキース)といった長距離打者たちは、ダービー出場を辞退している。大谷選手の敗退に対しては「体を壊して後半戦結果残せないよりもむしろいいんじゃないかな」「後半戦に向けて体力温存という面では良かったのかも」という声も聞かれている。