Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>
ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで話題になった話題を厳選し、考察するコラムの第10回です。今回は「キンチョウの広告戦略」を紹介します。
新聞広告をSNSでバズらせるキンチョウ
殺虫剤「キンチョール」などでおなじみの大日本除虫菊(キンチョウ、大阪市)が2021年7月4日に出した新聞広告が、ネット上で大きな反響を呼んだことをご存知でしょうか。
<インターネット黎明期かよって話題になったキンチョーの広告サイト、ソースコードを見てみたら芸術品が仕込まれてダメだった - Togetter>
「インターネット広告とは大違い!」「新聞広告は、あこぎなことをしないから安心だよ!」と、ネット広告をめぐる問題を揶揄しつつ、最終的にはウェブ上のキャンペーンページへと誘導するものです。
しかも誘導先は昔の個人サイトのような懐かしめのデザインで、ソースコードにキンチョウのマークが仕込まれているなど非常に手が込んでいます。ネットユーザーならTwitterなどで言及したくなりますね。
実はキンチョウは、以前からこういった「インパクトがあるだけでなく、誰かにシェアしたくなる工夫」をこらした広告をたくさん出していたのです。その歴史を振り返ってみましょう。
飛んでいる蚊を線で繋げると?
2015年に出された広告は、描かれている蚊を数字の順に線で繋いでいくと「買って」や「ひま?」といった文字が現れるもの。ストレートすぎるメッセージや煽り(?)には思わずツッコミを入れてしまいそうです。
<『金鳥』の新聞広告にいっぱい飛んでいる蚊を線でつなげると... - Togetter>
<キィー!!『金鳥』の新聞広告に飛んでいる蚊をつなげると今度は煽られた - Togetter>
超難解折り紙や「飛び出す」ものも
2017年には「超難解折り紙」と銘打ってユーザーの心を刺激しつつ、折っていくといわゆる「G」ができあがる広告を掲出。人によっては完成までに1時間ほどかかるそうで、「がんばって作ったのにこんなの結果とは......」と誰かに報告したくなります。
<キンチョールの新聞広告に超難解な折り紙→折った結果に悲鳴「やっぱりか!」「思ったより生々しい」 - Togetter>
2018年の広告は、適切な角度で撮影するとまるで商品がそこにあるかのように見える仕掛けを持ったもの。実際に写真をとってシェアしたくなるので「拡散するまでが、広告です。」というコピー通りの展開になりました。ユーザー側が乗っかっていったのもポイントです。
<攻めた広告でおなじみキンチョーさん、今度はある仕掛けで「買ったように見える」......だと......? - Togetter>
2020年、今まで以上の大きな反響が
コロナ禍に入った2020年には「広告の掲載日に世界がどうなってるかわからない」という問題を逆手に取った広告が。「外出自粛が続いている場合」「コロナに打ち勝った場合」など6つのパターンに分け、それぞれウェブページが作られました。どれもクオリティが高く、誘導先のウェブサイトがパンクしかけるほど話題に。
<緊急事態継続から打ち勝った場合まで...目まぐるしく変わる世の中の状況に合わせて6パターンの広告を作ったキンチョウの広告が清々しくておもしろい! - Togetter>
このように、キンチョウの新聞広告が毎回と言っていいほど話題になる理由は次の3つが考えられます。
・「おもしろい」だけで終わらない、思わずひとこと言いたくなるクオリティの高さ
・ユーザー自身が広告の写真を撮ってSNSでシェアしたくなる仕掛け
・新聞広告をウェブと連動させ、ターゲットをネットユーザーにまで広げた作り込み
認知度も年々「キンチョウの広告なら、何か仕掛けがあるに違いない!」とユーザーが楽しみにしているのも大きなポイントですね。今回紹介したもの含め、これまでのキンチョウの新聞広告は公式サイトで見られるので、気になった人はぜひチェックしてみてくださいね。
以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。