鉄道の「さよならイベント」をご存じだろうか。特定の路線や車両の終了を惜しむファンのため、鉄道会社などが開催する催しのことだ。
昨今はコロナ禍のため、開催を控える動きもあるようだが、2021年の夏は、関東・関西で2つのさよならイベントが開催される。
京急から消えるドレミファの音
京急は6月25日、発車時に音階を奏でることから、「歌う電車」として親しまれる2100系が機器の入れ替えによって「歌い終える」ことから、各種イベントを開催することを発表した。
1998年にデビューした2100系と新1000系は、発車時にドレミファの音階を奏でることから、鉄道ファンからは「ドレミファインバータ」とも呼ばれてきたが、2021年夏を最後に音階を奏でる車両が消滅する。
その「さよならイベント」の目玉と言えるのが、7月18日に行われる特別貸切イベント列車「ありがとうドレミファインバータ♪」の運行だ。こちらは品川駅から久里浜工場まで運行され、募集販売となる。また久里浜工場では「ドレミファインバータ」を楽しむ鑑賞会や車両撮影会などを実施する。
余談だが、音階を奏でる車両としてはJR東日本のE501系も有名だったが、こちらは先に奏でなくなっている。
近鉄の名車がついに消える
近鉄は6月29日、近鉄特急拡大期を支えた特急専用車両12200系を使った「ありがとう12200系特急 ラストラン乗車ツアー」を8月7日に開催することを発表した。このツアーが12200系の最後の乗車機会となる。
ツアーでは大阪上本町~賢島間・近鉄名古屋~賢島間を各1往復、計4コースを設ける。また新型コロナウイルス感染症対策により、募集人数を各コース、約半分の120名に限定。参加者は窓側座席に乗車でき、1人2席利用できる。
なお車内では12200系の歴史やエピソード、車内概要などの解説を実施。また特別グッズを用意する。
新型コロナウイルス感染症により、屋外での鉄道イベントが減少している中、今回紹介した京急と近鉄のイベントは貴重だといえるだろう。
しかしどちらも募集制ということもあり、希望者全員が参加することはできない。そうなると、駅撮りなどを検討する鉄道ファンもいるだろう。しかし「3密」が叫ばれている中で、駅撮りなどをする場合は周りや社会からの目を考慮した対応が求められる。
せっかく貴重な鉄道イベントを素晴らしいものにするために、自戒の念を込めて「配慮」という文字を心に刻み込みたい。
(フリーライター 新田浩之)