時代の変化と花火
苦労の末に出来上がった煙の少ない花火は、住宅街の多い首都圏を中心に徐々に広まった。そして2018年ごろ、インターネット上で写真をシェアする文化が広まっていることを受けて「煙少なめスマホでキレイ」シリーズと名を変えてリニューアル。SNSに親しんだ若い層からの購入も増えたそうだ。
「手持ち花火は昔、駄菓子屋や玩具屋で一本一本を店員さんと相談しながら買うものでした。しかしこうした路面店が減っていき、花火の売り場はコンビニやスーパーに移り変わりました。対面販売が減ったため、パッケージで消費者の方に花火のコンセプトを伝える工夫を続けてきました。『煙少なめスマホでキレイ』シリーズがSNS上で話題になったことは、その地道な努力が認められたようでとてもうれしいです」
恩田さんによれば、今年の花火の売れ行きは出荷ベースで前年比2割増と好調だという。昨年に手持ち花火を楽しんだ人が「固定ファン」になってくれたのではと見る。
人気商品は「おウチ花火」シリーズで、住宅街で楽しめるような音や煙が少ないものだという。家庭で楽しめるよう低価格帯で展開している。恩田さんは、時代が変わっていっても日常に花火が残ってほしいとしてこう語る。
「昨今は家に仏壇がなかったり、身近にタバコを吸われる方がいなかったり。オール電化の家も増えていて、日常的に火に触れる機会が減ってきています。一緒に花火教室に取り組む消防署の方からは、火に対する恐怖がない子が増えてきていると伺いました。
そんなご家庭でも、生活の中に『花火』を取り入れてもらって、楽しみながら火への理解を深めていただけたら幸いです」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)