巨人・炭谷銀仁朗の金銭トレードでの楽天移籍は大きな波紋を呼んだ。
今季は44試合出場で打率.188、1本塁打、7打点。スタメンでの出場は18試合にとどまったが、接戦で試合途中から出場する難しい役回りで投手陣を巧みにリード。首位・阪神を追うチームの中で、大きな役割を果たしていた。
戸郷を育てた実績も
楽天は2018年オフに炭谷が西武からFA宣言した際も、その力を高く評価していた。今回のトレード劇で、原辰徳監督と炭谷の間で話し合いが持たれたことが報じられていることから、巨人サイドが新天地に出場機会を求めた炭谷の希望を汲んだと考えるのが自然だろう。
巨人に移籍初年度の19年は58試合出場で打率.262、6本塁打、昨年は56試合出場で打率.180、1本塁打、7打点。額面の数字は物足りなく感じるが、リーグ連覇したチームへの貢献度は計り知れない。
昨年は戸郷翔征の「専属キャッチャー」として、9勝をマークさせるなど力を引き出した。守護神・デラロサとバッテリーを組んで試合を締めるのも炭谷だった。
「大城の配球は打者に読まれやすいと言われますが、炭谷はその逆で相手の狙いを見透かしたリードで手玉に取る。粗削りな若手や外国人投手の良さを引き出すのが巧い。相手球団にとって、炭谷がいなくなったのは戦略上で大きいと思います」(スポーツ紙デスク)
「最初から獲らなきゃいいのに」の声も
気になるのは、炭谷が巨人にFA移籍して2年半で、金銭トレードにより楽天に移籍したこと。炭谷のFAで人的補償として、投手陣を長年支えてきた内海哲也が西武に電撃移籍した経緯もある。
ネット上では「こんな人事ばかりしていたら、巨人にFAで来たいって選手がいなくなるんじゃないかと心配になる」、「銀仁朗がトレード...。こんなことするなら最初からFAで獲らなきゃいいのにと思ってしまう」などのコメントが。
炭谷は正捕手としてまだまだやれるという自信があるだろう。楽天は西武で現役時代バッテリーを組んでいた石井一久監督が指揮を取り、涌井秀章、岸孝之、牧田和久、浅村栄斗など顔なじみの選手が多いだけに、すぐに溶け込める環境だ。新天地での活躍に期待したい。(中町顕吾)