「すごい企業努力」佃煮ガラス瓶の「形」が話題 なぜ開発?きっかけは「使い切りたい」客の要望

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   「佃煮が少し瓶に残る・・・」「商品を最後まで残さず使い切りたい」――そんな消費者の声に応えた海苔佃煮のガラス容器がSNS上で話題になっている。

   話題となったのは、佃煮の製造・販売で知られる磯じまん(大阪市都島区)の「生のり」のガラス瓶。SNS上の反響について、磯じまんの担当者は「大変驚いています」と述べる。

   というのも、瓶のリニューアルを行ったのは2016年のことだったからだ。

  • 話題となったストレート瓶
    話題となったストレート瓶
  • 「生のり」の瓶
    「生のり」の瓶
  • 話題となったストレート瓶
  • 「生のり」の瓶

新聞でも雑誌にも話題にならなかったのに・・・

   磯じまんは老舗の食品加工メーカーで、1926年に創業、43年に設立された。主に瓶詰食品を製造・販売している。看板商品は社名にもなった「磯じまん」という海苔の佃煮だ。

   同社は創業以来、商品をガラスの瓶で販売することにこだわっている。しかしそんなガラス瓶に対して、客から意見が寄せられた。以前の同社の「生のり」のガラス瓶は、壺のような形状をしていた。そのため、瓶上部のカーブ部分に佃煮が残ってしまうのだという。

   消費者の「商品を使い切りたい」という声に応えるため、磯じまんは2016年、瓶の口部分を広くし壺のくびれ部分をなくした「ストレート瓶」を開発した。

   この開発背景を伝える磯じまんの広告が、瓶の変更から5年を経て2021年7月6日、一般のツイッターユーザーによって拡散された。ツイートには7万件以上の「いいね」が寄せられ、「すごい企業努力」「思わず洗って再利用したくなるデザイン」といった声が寄せられた。

   磯じまんの担当者は9日、SNS上の反響について取材にこう述べる。

「2016年発売当時は雑誌や新聞に広告を打ったりしたのですが、残念ながら大きな話題にならなかったので、正直なところ大変驚いています。
様々な年代層の方に弊社の名前や工夫を知っていただき、とてもうれしいです」

ガラス瓶にこだわる理由

   話題となった「ストレート瓶」は、同社の「生のり」と「山海ぶし」に使用している。担当者の知る限りでは、3代目の瓶だという。開発で苦労した点についてはこう述べる。

「製造ラインの工程で瓶が割れたり欠けたりする事がないか、という懸念がありましたので、試作の瓶を使って検証などを行いました」

   また2代目の瓶に変更する際にも、くるくる回しながら開けるキャップから、ジャム瓶などに使用されている軽くひねって開けるキャップに変更するなど、「少しでも便利に使っていただける様に工夫していた」と述べた。

   磯じまんはこのように、改良を重ねながらもガラス瓶にこだわっている。理由としては、ガラス瓶の優れた密閉性や商品の保全性を挙げる。ガラスは食品に溶け出すことがない上に強度が強く、中身を揺れや衝撃から守ることができるという。

   こうしたこだわりから開発したガラス瓶が注目されたことについて、磯じまんの担当者は感謝を口にする。担当者は最後に、SNS上で話題にしてくれた人々に向けてこう述べた。

「遅ればせながら、弊社も今年から公式のSNSを立ち上げ、活動を始めたばかりなのですが、今回の事で注目していただきましたおかげでフォロワーになっていただいた方が増えたという報告をもらっております。
担当者が大変喜んでおりました。弊社の魅力に気づき、紹介していただきまして本当にありがとうございました」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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