東京の地下鉄駅の点字ブロックに、QRコードがついているのを見かけた経験はないだろうか。
このQRコード、実は視覚障害者への配慮として、東京メトロが一部の駅に設置しているもの。専用のアプリで読み取ると、出口までの移動をサポートする案内音声が流れる仕組みだ。使い方や普及の現状など、同社広報部に聞いた。
東京メトロの一部の駅では、ホームの端に沿って敷設されている点字ブロックに、QRコードを貼付している。
これは東京メトロとソフトウェア開発のリンクス(東京・港区)が導入したシステムで、専用アプリ「shikAI」(シカイ)により視覚障害者を誘導する。検証と実証実験を経て、2021年1月27日に導入された。
現状、このシステムはどの程度普及しているのか。J-CASTニュースは21年7月1日、東京メトロ広報部に取材した。
まずアプリの使い方だが、shikAIは現時点ではiOS14.0以降対応のiPhoneでのみ利用可能。音声で画面上の情報などを読み上げるVoiceOver機能を使ってアプリを起動し、ホーム上のQRコードを読み込む。
アプリの利用にあたっては、事前に歩行指導員から説明を受け、認証キーを付与してもらう必要があるものの、それを踏まえた後であれば、
「視覚障害のある方でもVoiceOver機能によってスマートフォンを操作していただくことで1人でご利用いただけます。視力を音声で補うことでお客様の目的地を選択できるようになっています」(広報部)
と、1人での電車利用を手助けする。
QRコードを読み込んで音声に従って操作していくと、駅の出口や目的地を選択することができ、ガイドに従って点字ブロック上を歩くことで目的地まで移動できる仕組みだ。ナビゲーションにより、介助者がいなくとも1人で移動できる仕組みを整えている。
ただし東京メトロによるとQRコードの導入駅はまだ少なく、21年7月時点でもまだ東京メトロ全線の中でも外苑前・明治神宮前(原宿)・北参道・西早稲田・東池袋・護国寺・豊洲・辰巳・新木場の8駅にとどまる。
今後の他駅への拡大予定については「まだ検討段階にとどまっています」(広報部)とのことだった。