調理用家電大手・象印マホービン(大阪市北区)の「象印花柄復刻シリーズ」が注目を集めている。昭和の時代にブームを起こした同社の「花柄ポット」を、ステンレスマグ・ガラスマホービンという形で復刻した商品だ。
1960年代後半に登場し、食卓を彩った「花柄ポット」。同社によれば、一時はシンプルさを求める時代の流れの中で姿を消しつつあったというが、これが令和の時代になって「レトロで可愛い」と再び注目を集めているのだ。
「象印さん、話が分かる」
レトロな花柄が大きくあしらわれた「花柄ポット」。その復刻商品に注目が集まったのは、あるツイッターユーザーが2021年7月5日の投稿で、
「象印さん、話が分かる。昭和のデザインで今の機能性の物がほしかったの!」
と商品を紹介したことがきっかけだ。
この投稿は2万件以上のリツイート、5万8000件超の「いいね」が集まるなど話題に。ツイッターでは、
「これだよ!これ!!」
「見た目は昔のままでもいいのよ。中身が最新重要」
「昭和のデザインといいつつ、全然今でもお洒落なのが素敵」
といった声が寄せられている。
今回話題となった「象印花柄復刻シリーズ」は、象印マホービンから販売されているステンレスマグ・ガラスマホービン。20年11月25日にオープンした直販EC「象印ダイレクト」で、限定商品の第1弾として発売されたものだ。
象印の公式サイトによると、「花柄ポット」は高度経済成長期のさなか、1967年に卓上用まほうびんとして誕生した。それまで単色が主流だったまほうびん市場に登場した「花柄」は、一大ブームを起こしたという。ちゃぶ台に置かれたポットの「花柄」に、昭和のノスタルジーを感じる人も少なくないのではないだろうか。
そんな花柄ポットを復刻した商品は、なぜ生まれたのだろうか。J-CASTニュースは6日、象印を取材した。
復刻のきっかけは...
広報によれば、復刻商品の発売に至ったきっかけは、同社が15年にオープンした、花柄ポットの魅力を伝えるウェブコンテンツ「GARARY(ガラリー)」が話題になったことにあるという。
時代の流れとともに、ブーム当時と比べて存在感を失っていった花柄デザイン。担当者によれば、同社の商品でもラインの入ったものやワンポイント柄など、シンプルなデザインが再び多く取り扱われるようになったという。
だが、同社のGARARYが花柄をモチーフにしたスマホやPC用の壁紙などを配布すると、これが「かわいい」「復刻してほしい」とツイッターで話題になった。こうした反響を受けて、復刻商品の発売が実現したという。
復刻にあたっては、当時の色と柄の印象を再現する事が難しかったとして、
「特に柄については、元々はガラスマホービンに採用されていたデザインでしたので、ステンレスボトルのような表面積の小さな、形状の異なる商品で忠実に再現するには、各デザインのサイズ調整等に苦労しました」
と語った。
当時のデザインを再現するためのこだわりは「花柄」だけではなかった。広報は、特にこだわった点について、
「商品にあしらった象のロゴマークを"当時のロゴ"で再現した点です」
と答えた。同社のシンボル「象のマーク」は創業5年の1923年から、現在に至るまで時代に合わせてリニューアルされている。
今回復刻された花柄は、「花化粧(1970-)」「フローラ(1975-)」「ワインフラワー(1980-)」の3種。商品にデザインされたロゴマークもそれぞれ、当時の時代に使っていたものを再現したそうだ。
話題になったツイートについて、広報担当者は「もちろん存じ上げております」。さまざまなユーザーから反響を呼んでいることについては、
「幅広い年齢層の方からこういった反響をいただけることは、メーカーとして大変光栄に思っております」
と答えた。今後の展開については未定だという。