2021年7月6日に神宮球場で開催されたプロ野球・ヤクルト-阪神戦で、両軍の監督が顔を突き合わせて協議し、約4分間にわたって試合中断となる異例の事態が起こった。阪神の攻撃中、二塁走者の近本光司選手がサイン盗みをしているのではないかと、ヤクルト・村上宗隆選手が指摘し、場内は一時騒然。インターネット上では、この時の一部ファンによる野次に批判の声が相次いでいる。
「あんなヤジとか怒号を...」
4対0で阪神がリードしていた5回2死一・二塁の場面、ヤクルトの村上選手がグローブで二塁上の近本選手を指し、審判団に何かをアピールした。近本選手はヤクルトの田口麗斗投手が投球する直前、走塁の待機状態から左手を横に上げ膝に戻した後、また数回左方向をさすような動作を見せていた。
村上選手はこれを、キャッチャーのサインをバッターボックスの佐藤輝明選手に伝える行為ではないかと考えたとみられる。村上選手の指摘に対し、阪神の矢野燿大監督と井上一樹コーチが激昂。ベンチからも怒号が聞こえる事態となった。
しかし、村上選手は厳しい表情のまま三塁ベンチへ向かい、事情を説明していた。審判団を挟んで矢野監督と高津臣吾監督が話し合うこととなり、試合は一時中断となった。両軍の監督は身振り手振りを交えて口論し、球場は一触即発の異様な空気に包まれた。試合はその後無事に再開されたが、ネット上ではこの騒動をめぐり激論が交わされている。
中には、場内にいた一部のファンによる村上選手への野次に関する指摘もある。現地で撮影された動画がYouTubeなどに複数公開されているが、三塁側で撮影された動画には「なんやねん村上!」など、村上選手に野次を言う声が入っていることがわかる。
コロナ禍での野球観戦については、NPBによって定められた「感染予防ガイドライン」に大声を出しての応援を禁じるルールがある。
今回の騒動では一部ファンが村上選手に対し大声を出す様子を見せている。こうした振る舞いに対し、ファンのマナーについて批判する声があがっている。
「村上くんカッコイイなー凄いわ ちゃんと敬語で抗議してるし。それに比べ阪神ファンのオヤジの野次のダサよ。コロナ禍なんだから大声出すなよ!」
「あんなヤジとか怒号を飛ばしまくる阪神ファンとベンチに怒り、そして悲しい気持ちになりました」
「村上君確かにすごいけど、それよりも阪神ファンのヤジに寒気がしたんだけれども」
なお複数の報道によると、矢野監督は試合後に「サイン盗み」疑惑を真っ向否定した。「紛らわしいというのはもしかしたらこっちも改善しないと駄目な部分があったのかもしれない」と話したという。