プロ野球・阪神の「サイン盗み疑惑」が波紋を広げている。
阪神は2021年7月6日、神宮球場でヤクルトと対戦し5-1で勝利した。3位ヤクルトに快勝して首位を死守した阪神だったが、5回攻撃の場面で二走・近本光司(26)がとった「行為」が伝達動作だと疑われ、両軍監督が一触即発の騒動に発展した。
捕手の要求はインコース高め
問題のシーンは5回に起こった。阪神が4点リードで迎えた5回2死1、2塁の場面。マウンドはヤクルト田口麗斗投手(25)、2塁走者には近本、打席には佐藤輝明(22)が入っていた。
田口が佐藤に初球を投じる直前、2塁走者の近本はリードを取りながら左腕を真横に伸ばした。いったん伸ばした左腕を下げて左手を膝に置いたが、その後左腕を2度、2塁ベース方向に動かした。捕手の古賀優大(22)はインハイにミットを構えていたことから、伝達動作にもみえる近本の行為に疑いの目が向けられた。
この行為に対して3塁手・村上宗隆(21)が左手にはめたグラブを近本に向けて審判にアピール。すると阪神ベンチから村上に向けて怒声が飛んだ。審判が一度試合を止めると、矢野燿大監督(52)から出て行き、高津臣吾監督(52)もベンチから出て行き、バックネット前で審判団を交えて協議。両監督ともヒートアップし激しくやりあった。
6日に放送されたCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』はこの場面を取り上げ、番組に出演した野球解説者らがそれぞれ自身の見解を述べた。
野村氏「当然やっていないと思いますが...」
司会を務めた元楽天監督のデーブ大久保氏は、近本の行為に関して「これは絶対やっちゃダメ。絶対にダメ」と断言し持論を展開した。
「阪神のこの好調がこういう動きによってケチが付く。これ一番やっちゃいけないことだから。言い訳としては、こうセカンドとのベースの距離を測ってるという言い方も出来るんですよ。手を出して。ところが映像見てもらうと分かるんだけど、全然そんな動きじゃないから」
横浜ベイスターズで投手とした活躍した野村弘樹氏は「当然やっていないと思いますが、あの行為はやっていると言われてもしょうがない動きです」と大久保氏に同調するように持論を述べた。
電話でリモート出演した横浜ベイスターズの元1軍投手コーチ齊藤明雄氏は「一度目の手を挙げるだけならいいんですけど、あと2回、3回と動かしてるじゃないですか。あれはキャッチャーが配球的に寄った時のサインを出したと受け取られても仕方ないのかなという行為だと思います」と見解を述べた。
また、デーブ大久保氏は矢野監督と高津監督が口論となった場面について「これは矢野監督が抗議に行く場面ではないです。高津監督はブチ切れてもいい場面です」とし、「本当に。これ野球じゃなくなっちゃうから。スパイ行為は本当に発覚したら永久追放というのもみんな分かっていてほしい」と訴えた。