サッカー・フランス代表のFWアントワーヌ・グリーズマンとFWウスマン・デンベレは、過去に日本滞在中に撮影された差別的発言を含む動画について、2021年7月5日、自身のSNSを通じて謝罪した。
2人の謝罪内容もまた物議を醸し、日本のツイッター上では「開き直り」「謝るどころか逆ギレしてる」と批判が集まっている。その一方で、デンベレのインスタグラムには批判とは異なる、明らかな「差別的投稿」も相次いでいる。
フランスメディアも批判
グリーズマンとデンベレはフランス代表の中心的選手。ともにFCバルセロナ(スペイン)に所属する。19年7月にはクラブの日本ツアーで来日していた。
問題になっているのは、その来日時にホテルの一室で撮られた40秒ほどの動画。2人はサッカーのテレビゲームをするため、ホテルのスタッフにセッティングを任せていた。しかし、デンベレはセッティング中のスタッフを前に、フランス語で「醜い面」「ひどい言葉だ」などと発言。グリーズマンはデンベレの隣で、終始笑みを浮かべていた。
この動画が21年7月2日にインターネット上で拡散され、「日本人差別ではないか」と批判を集めた。3日には日本のウェブメディアが動画の内容を相次いで報じた。4日にはフランスで最も歴史のある日刊紙「フィガロ」電子版が動画を取り上げ、「人種差別的な発言」「悪い冗談を言いながら、スタッフの出自を公然と馬鹿にし、不快なカメラズームと太い笑い声を繰り返している」(編集部訳)と批判した。
そうした中、5日夜にデンベレとグリーズマンは自身のSNSを通じ、騒動を謝罪した。
デンベレはインスタグラムのストーリー機能を通じてメッセージを投稿した。動画での発言は「プライベートで、友人との間で、相手がどこの国の人であろうと使う傾向があります」と説明。動画はもともとプライベートで撮影されたとした上で、「このビデオが公開されたことで、そこに映っている人たちが傷つく可能性があることは十分に理解しています。だからこそ、彼らに深く謝罪したいのです」とした。
グリーズマンはツイッターで、フランス語で次のような文章を投稿した。
「私は、どんな差別にも反対してきました。ここ数日、ある人たちが私をおとしめようとしています。私に対する非難には断固として反論し、日本の友人たちを怒らせてしまったならば申し訳ないと思っています」
絵文字、日本語での差別コメントも
しかし、これらの謝罪文もまた、物議を醸している。デンベレに対しては、24時間で投稿が消えるストーリーで謝罪文をポストしたことや、動画で使ったような表現を「どこの国の人であろうと使う」と説明したことなどに、日本のツイッター上では「開き直り」「謝るどころか逆ギレしてる」と批判が集まっている。
イギリス出身の日本在住サッカーライター、ベン・メイブリー氏は6日、自身のツイッターで「(デンベレは)謝っているようで実はあまり謝っていない姿が尚更残念に思う。対象がどこの人だろうが同じ言い方をしたって...どの人種、どの国籍、どの人に対しても、差別的な発言や侮辱は100%いけない」と私見を述べた。
また「私をおとしめようとしている」「非難には断固として反論する」とコメントしたグリーズマンに対しても「謝罪になってない」「自己中心的」などの批判が集まっている。
だが、デンベレのインスタグラムには、こうした批判とは異なる、明らかな差別的ニュアンスを持ったコメントも寄せられている。
デンベレの最新投稿(6月23日投稿)のコメント欄には、デンベレが謝罪文をポストした後から、アフリカ系のデンベレの肌の色を侮辱するような投稿、人種差別的な投稿が相次いでいる。絵文字を使ったものや、中には日本語でのコメントも確認できる。