立憲民主党と共産党の候補者調整が奏功した東京都議会選挙をめぐり、立憲の安住淳国対委員長は2021年7月5日、「如実にその成果は出ているので、国政においても十分この結果というのは参考にしないといけない」として、衆院選でも連携を強化したい考えを強調した。
連携強化のハードルだと考えられているのが、立憲や国民民主党の支持団体である日本労働組合総連合会(連合)が共産と対立してきた経緯があり、立憲-共産の接近に対する警戒感が強いことだ。とりわけ、連合の地方組織にあたる連合東京の反発は強い。安住氏は、立憲が議席を伸ばす一因になった「リアルパワー」は連合東京ではなく共産党だとの見方を示した上で、「組織の建前の話になかなか付き合ってられる状況じゃない」と突き放した。
「一本化したところにまとまって票が入ってトップ当選をするという構図」
安住氏は、共産と候補者調整して立憲側が出馬し、当選した中野区(定数3)と武蔵野市(定数1)を挙げ、協力の効果を
「やっぱり率直に言って(共産党に候補者を)下ろしていただいて支援をしていただくだけでも、もう突き抜けてトップになってるんで、ただ単に勝ったんじゃなくて中身のいい勝ち方しているんですよ」
などと強調。一部競合があった選挙区もあったものの、調整できた選挙区については「如実にその効果は出ている」とした。衆院選に向けた取り組みについても手応えを感じていた。
「有権者の今度の投票行動だけを見れば、一本化したところにまとまって票が入ってトップ当選をするという構図というか、パターンはひとつ見えた」
課題が連合との関係だ。記者からは
「連合東京と、立憲民主党の関係性で、表現は難しいが、ギクシャクというか、そういうところもあったのでは」
という質問も出た。
「ギクシャク」の原因になったのが、共産党都委員会の事実上の機関紙「東京民報」5月16日号に掲載された、立憲の都連幹事長を務める手塚仁雄衆院議員と田辺良彦・共産党都委員長との対談だ。見出しは「政権交代へ、共闘の発展を」とうたっていた。対談を問題視した連合東京が6月1日付けで出した声明では、「立憲民主党東京都連とは埋められない距離感を感じざるを得ない」と非難し、都議選と衆院選で立憲の立候補予定者を推薦や支援していることに言及。共産党を名指ししながら推薦などを取り消す可能性について警告していた。
「その協定には、共産党と与しないこと、違反行為がある場合には推薦等の支援を取り消すことになっていることから、本件を受け、すべての推薦・支持・支援候補者の活動実態を確認し、協定内容に照らして毅然とした対応を図ることとする」