静岡県熱海市などで2021年7月3日に発生した豪雨と土砂災害をめぐり、その様子を伝えたNHKアナウンサーの機転が視聴者から称賛された。
電話での取材中、話を聞いている相手が避難を勧められている状況と知ると、すぐさま取材を中断。その場から避難するよう、取材相手に呼びかけたのである。生放送で見せた機転はどんな判断で行われたのか。NHKに聞いた。
「でしたらすみません、避難をしてください」
7月3日13時からNHK総合で始まったニュースでは、中山果奈アナウンサーが静岡・関東の豪雨災害を報じていた。13時30分頃、熱海在住の住民への電話取材が始まったが、まず現在の状況を聞いた中山アナは、「できれば避難した方がよいと消防からすすめられている」という返答を聞くと即材に取材を打ち切った。
「でしたらすみません、避難をしてください」
と相手に避難を呼びかけて電話を切り、豪雨報道を続けた。
この対応を見ていた視聴者からは、ネット上に「素晴らしい判断」「取材より人命を優先した中山アナがすごい」といった称賛の感想が相次いだ。
この対応について、J-CASTニュースが7月5日、NHK広報部に取材したところ、同局からの回答は
「アナウンサーや放送現場の編集責任者らで判断しました」
ということだった。アナウンサーも含め、リアルタイムで取材のやりとりを聞いていたスタッフ全体で取材打ち切りを即座に決めたとのことである。
「安全を最優先に対応する」
番組での迅速な判断は、NHKであらかじめ想定されていたものでもあったのだろうか。このような災害取材時の取材対象者への安全配慮についてもNHK広報部に聞いたところ、
「NHKでは、災害報道について、放送ガイドラインで『災害の取材・制作にあたっては安全に十分留意する』と定めています。取材者自身はもちろんですが、取材対象者についても、安全を最優先に対応することにしており、状況によっては、取材を中断することもあります」
と答えており、地震や水害など災害時には取材対象者の安全を優先するとしている。