大相撲名古屋場所は2021年7月4日、ドルフィンズアリーナで初日を行い、進退をかけて臨む横綱白鵬(36)=宮城野=が、新小結・明生(25)=立浪=を掛け投げで下し白星スタートを切った。
北の富士氏「相当不安は大きくなったね」
白鵬は立ち合い、右を張って右上手を取った。胸を合わせての左四つ。明生に寄られながらも押し返し、土俵際で投げを打った。左足を明生の右足に掛けての下手投げ。両者土俵に崩れ落ち、明生の体が先に土俵に付いて軍配は白鵬に。勝利の瞬間、白鵬は眉間に力を込め厳しい表情を見せた。
3月に手術を受けた右膝に不安を抱えたまま本場所に臨んだ。この日は右膝と右肘にサポーターをして土俵に上がった。不安と緊張の中で迎えた場所初日。万全の相撲で復活をアピールしたかったところだが、相撲内容は決して盤石ではなかった。
この日、NHKの大相撲中継で解説を務めた元横綱の北の富士氏と舞の海氏は、白鵬の相撲についてそろって不安を指摘した。
北の富士氏は「勝ったのは良かったけどね」と前置きし、「相当不安は大きくなったね、明日から。がっぷり四つですよ。あの投げでぐらいついて、かろうじて打ち返して勝ったけど、あの形になったら相撲にならないはず、本来は。ホッとするどころか明日からの相撲が心配だ」と述べた。
舞の海氏「明生に力負けしているようにも見える」
舞の海氏は「立ち合いから勝負が決まるまでの相撲内容をみると、満身創痍というか、全く余裕がなかったですね。白鵬の必死さだけが伝わってきました」と率直な感想を吐露し、取組後の白鵬の表情に関しては「ホッとした表情なのか、膝に痛みが走った表情なのか分かりませんね」と語った。
また、舞の海氏は白鵬の相撲に本来の力強さがなかったことを指摘。「左四つがっぷり組んでいる映像を見ても、ちょっと明生に力負けしているようにも見えるんですよね。引きつけ合いで」との見解を示した。
白鵬にとって名古屋場所は6場所連続休場からの復帰場所となる。横綱として最低限、15日間相撲を取り切って優勝争いが求められる。右膝に不安を抱える状況でこの「ハードル」は決して低いものではないだろう。2日目は前頭筆頭・遠藤(30)=追手風=を迎え撃つ。白鵬の進退をかけての戦いは始まったばかりだ。