コロナ禍でテレワーク(在宅勤務)中に、選挙カーが来てうるさかったと、ツイッターで苦情が相次いでいる。
中には、ウェブ会議が妨害されたと訴える人もいた。国や都は、テレワークを推進しているだけに、対策を求める声が高まっている。
「候補者はもっと配慮すべき」との投稿に、6万8000件以上の「いいね」
東京都議選が2021年6月25日からスタートし、7月4日の投開票に向けて、各陣営が連日激しい舌戦を繰り広げている。
秋までに行われる衆院選の前哨戦ともされるだけに、各党も候補者へのテコ入れに懸命な様子だ。
そんな中で、ツイッターでは、テレワーク中の人も多く、ウェブ会議も入る中、選挙カーの候補者は、もっと配慮すべきだとの投稿が6月28日にあり、反響を呼んだ。
選挙カーによる大音量演説が続く都議選を受けての投稿と見られる。このツイートは、7月2日時点で6万8000件以上もの「いいね」が付き、様々な意見が寄せられている。
「選挙カー テレワーク」などでツイッターを検索すると、同様な声は多い。「うるさくてテレワークに集中できない」「商談でめっちゃ選挙カーの音入るから本当にやめて」「せめて住宅街から離れて欲しい」との訴えが続々書き込まれていた。ウェブ会議や電話の最中に選挙カーが通り、「連呼される候補者名から居住エリアが推測できそうで、嫌だな」との声もあった。
影響を受けているのは、テレワークばかりではない。コロナ禍で、オンラインによる授業や面接、英語のリスニングテストなども増えているだけに、これらの視聴に支障が出たとの声も寄せられている。動画配信などにも影響があるようで、「時代に応じて選挙も変わって欲しい」と切実な思いがあるようだ。
もっとも、選挙カーには、一定の役割があるとして、「なくなると、選挙があることさえ気づかず、投票率10パーぐらいになりそう」「支持者は選挙カーが来ないと『真面目にやってるのか!』と怒る」との指摘もあった。
都選管「配慮を求めたら、候補者の権利侵害で選挙妨害になる」
選挙カーによるクレームについて、東京都選挙管理委員会の選挙課は7月2日、J-CASTニュースの取材に、「普段の選挙から多いですが、音量のせいでテレワークやウェブ会議に支障が出た、商談がうまくいかなかった、という理由が確かに増えています」と認めた。
各候補者に対し、都が推進しているテレワークへの配慮を求めるかどうかについては、こう話した。
「公選法で決められていて、選挙カーで大音量を流さないでとは言えません。もし配慮を求めたとしたら、候補者の権利を侵害し、選挙妨害になります。それで落選したとすれば、選挙も無効になりますので、テレワークへの配慮は今のところ何もないです。1自治体としては、法律通りにしか運用できません」
配慮を求めるとすれば、法的な根拠が必要になるという。
「国が法改正するか、特例法を作るかすれば、話は別ですが、私どもは何も聞いていません。総務省には、機会があれば伝えたいとも思っていますが、選管としては何も決まったものはありません」
これに対し、総務省の選挙課は2日、選挙カーなどへのクレームのとりまとめはしていないとしたうえで、取材にこう説明した。
「公選法では、何デシベル以上はいけないといった音量などの規制はなく、運動している方の判断になります。テレワークへの配慮を求めることは、検討しておらず、事務通知も特に出していません。国会議員で考えている方がおられるかもしれませんので、今後のことは分かりませんが、テレワーク対策といった話は承知していません。公選法改正や特例法は、現時点では検討しておらず考えていません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)