5月6日最後に途絶えた「記念写真」動静
さらに、「NKニュース」は6月29日、正恩氏が「重要なイベントの出席者との写真撮影を欠席した」ことを指摘している。その理由を「新型コロナや、その変異株に感染するリスクを避けたいからではないか」とみている。5月6日に朝鮮人民軍の軍人家族芸術サークル公演の参加者と記念写真を撮ったのが、国営メディアが報じた最後の「記念写真」をめぐる正恩氏の動静だ。
先例に従えば、その後も記念写真が撮影されるはずのイベントが2つあったが、いずれも正恩氏の登場は確認されていない。ひとつが、「朝鮮職業総同盟」。第8回大会が6月25~26日にかけて行われたが、記念写真に関する記事は配信されていない。前回の第7回大会は16年10月25~26日にかけて行われ、国営メディアは10月30日に写真撮影について報じた。
もうひとつが、21年6月20日から21日にかけて開かれた「朝鮮社会主義女性同盟」の第7回大会。前回の第6回大会は16年11月12~13日にかけて開かれ、集合写真を国営メディアが配信したのは11月22日のことだった。
NKニュースは、正恩氏が集合写真の撮影のような「大人数のグループにはより慎重に対応」していることを指摘。新型コロナの感染を警戒している模様だ。
「北朝鮮は、国内で新型コロナが検出されたことはないとの主張を続けている。しかし、正恩氏は、大人数のグループにはより慎重に対応しており、正恩氏と、その警備チームは、北朝鮮国内で新型コロナにさらされるリスクが高まっていると考える理由があるのかもしれない。おそらく、北朝鮮の厳格な国境管理を完全には信頼していないためだろう」
国営メディアによると、正恩氏は6月29日に開かれた朝鮮労働党の会議の場で、新型コロナ対策をめぐり「党の重要決定の実行を怠ることによって、国家と人民の安全に大きな危機を醸成する重大事件を生じさせたことと、それによって招かれた重大な結果について指摘した」という。「重大事件」「重大な結果」の内容は明らかではないが、北朝鮮のコロナ対策に何らかの問題が生じているとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)