有料特急の利用機会を少しでも増やそうと、鉄道各社が様々な工夫を凝らしている。
その一つが、有料特急「ラピート」や「サザン」などを運行する南海電気鉄道が2021年7月3日から導入する新施策。特急停車駅の券売機で、特急券が購入できるようになるというサービスだ。
特急停車駅の券売機で特急券が購入できる
南海電鉄は6月17日、特急停車駅の一部券売機(ピンク色の券売機、グレー色の券売機)で特急券等の購入が可能になると発表した。
現在はオンライン利用のほか、主要駅の駅窓口、泉北線各駅(深井駅除く)、南海国際旅行主要営業所、全国旅行代理店もしくは当日空席がある場合は指定席自動販売機で購入できる。
今回、新たに券売機で購入できるようになるのは特急券・座席指定券、乗車券付き特急券・座席指定券、関空トク割 ラピートきっぷである。乗車日1か月前の10時から乗車日当日の券売機設置駅の列車出発時刻の5分前まで購入できる。
南海としては特急券を購入しやすい環境を整えることで、特急列車の利用促進や駅窓口の混雑緩和を図る狙いがある。
京阪「プレミアムカー」も購入しやすく
同様の取り組みは他社でも見られる。京阪電気鉄道は座席指定特別車両「プレミアムカー」、全車両座席指定「ライナー」列車に必要なプレミアムカー券、ライナー券が購入できる「プレミアムカー券・ライナー券キャッシュレス券売機」を特急停車駅に設置し、21年1月31日から運用を開始した。
「プレミアムカー券・ライナー券キャッシュレス券売機」は駅コンコースやホーム上に設置されたため、より気軽に購入できるようになった。以前は専用ウェブサイトや駅窓口でしか購入できなかった。
私鉄各社はラッシュ時間帯の目玉として「3密回避」ができる有料特急や特別車両に力を入れている。感染リスクを減らし乗客の不安を少しでも取り除くと同時に、特別料金を通じてコロナ禍で被った減収分を取り返すという狙いもあるのだろう。
一方、JR西日本は一部の新快速に連結している有料座席サービス「Aシート」の指定席の座席数を7月1日から増やす。しかし、「Aシート」の連結列車は1日上下各2本しかない。また指定席券は専用ウェブサイトや「みどりの券売機」で購入できるが、定員制座席の乗車整理券は車内以外では購入できない。今後、連結列車の本数増加や購入方法の統一などのてこ入れが行われるのか注目したい。
(フリーライター 新田浩之)