外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(41)精神科医・香山リカさんと考えるパンデミック下の心理

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若い世代に向けて

   前回インタビューをした哲学者スラヴォイ・ジジェク氏は、教育がオンラインに移行すれば、同じ環境のもとで学ぶ友人たちとの間で形成されるべき人間関係が、そっくり失われる、という危惧を口にした。その点を訪ねると、香山さんは、「若い世代には思った以上に柔軟性があり、さほど心配はしていない」という。

「さっきまでオンラインで講義をしていましたが、学生たちはテクノロジーを使いこなし、新しい状況に積極的に適応している。若い世代は、いつの時代でも激変する環境に合わせて変わるたくましさがあるし、私たちもある意味でそうしてきた。彼らはそれまでの大人とは違うコミュニケーションのスキルを身に着けていく。その点はあまり心配していません」

   だが、これまでリアルの世界で人格を形成し、オンとオフの世界を身軽に行き来できる世代と違って、まだ形成途上の小中学生には、もっと丁寧なケアが必要だろうという。

   たとえばデジタル環境へのアクセスについては依然として地域、学校によって格差があり、学習内容についても、現場に任されているのが日本の実情だ。

「コロナ禍が広がった去年、中国では、あっという間に教科書の単元ごとの教材を作り、全国どこからでもアクセスできるようにした。各回、動画で20分の講義を受け、残り40分で自習をしたり、休憩したりするプログラムです。それをもとにSNSで学級ごとに話し合う。日本ではすべて現場任せで、ばらばらになっています」
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