今夏に開催される東京五輪の代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権第2日が2021年6月25日に大阪市のヤンマースタジアム長居で行われる。
第2日は男子100メートル決勝が行われ、大きな注目を集めている。3枚の五輪切符を巡り決勝では8選手がしのぎを削る。決勝進出者のうち4人が9秒台の自己記録を持っており、史上最高レベルの争いとなる。
ケンブリッジ飛鳥はまさかの準決勝敗退
決勝のスタートラインに立つのは次の8選手となる。
日本記録保持者の山縣亮太(29)=セイコー=、桐生祥秀(25)=日本生命=、サニブラウン・アブデル・ハキーム(22)=タンブルウィードTC=、小池祐貴(26)=住友電工=、多田修平(25)=住友電工=、東田旺洋(25)=栃木スポ協=、デーデー・ブルーノ(21)=東海大=、柳田大輝(17)=東農大二高=らが顔を揃えた。
前日24日の準決勝では、リオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダルメンバーのケンブリッジ飛鳥(28)=ナイキ=がまさかの敗退。大会初日でいきなり波乱が起こった。
準決勝の各組トップをみると、第1組は山縣が10秒16をマークして1位でゴール。第2組は多田が10秒17、第3組は桐生が10秒28をマークし、それぞれトップで決勝進出を決めた。前日本記録保持者のサニブラウンは第1組で10秒30の3位だったが、タイムで拾われ決勝に進んだ。
決勝8選手のうち、実に4人が9秒台の自己記録を持つ。山縣は日本記録の9秒95、前記録保持者サニブラウンは9秒97。日本人として初めて10秒の壁を破った桐生は9秒98、そして小池も同じく9秒98の自己記録を持っている。
ツイッターでは「日本のレベルも高くなったな」
日本人選手が100メートルで初めて9秒台をマークしたのは2017年9月。日本学生陸上競技対校選手権大会(福井)で桐生が9秒98をマーク。伊東浩司の持つ10秒00の日本記録を19年ぶりに更新した。
桐生が9秒98の日本記録を出して以降、9秒台ランナーが相次いだ。19年6月にサニブラウンが9秒97、同年7月に小池が9秒98をマーク。そして今年6月に山縣が9秒95の日本記録を樹立した。準決勝2組をトップで通過した多田は自己ベスト10秒01と、9秒台を視野に入れている。
五輪代表の選考会を兼ねた今大会において10秒05の五輪参加標準記録を満たした選手が3位以内に入れば代表に決まる。9秒台の自己ベストを持つ4人はそれぞれ標準記録を突破しているが、3位以内に入れなければ代表落ちする厳しい現実が待ち受ける。
9秒台ランナーでも代表から漏れるという史上最高レベルの100メートル決勝に、ツイッターでは「こんな時代がくるなんて...」「日本のレベルも高くなったな」「9秒台が4人もいるなんて知らなかった」「一昔前なら考えられないハイレベル」などの声が上がった。
五輪代表の座を獲得するのはどのスプリンターか。25日の決勝で日本最速の男が決まる。