「天皇の警告」でも「主催者を心変わりさせるには遅すぎた」
だが、発言が天皇陛下の意向であることを前提にした報道も相次いでいる。例えば韓国の中央日報は、
「天皇が新型コロナの状況と関連して五輪開催を心配していることを、西村長官が用心深く間接話法で伝えている」
とみる。米ワシントン・ポストは、発言を「東京五輪、天皇から重要な不信任票」の見出しで伝え、背景を
「天皇が、このように重要かつ論争があるテーマで発言することはまれで、その意見には重みがある。天皇の警告で、政府とIOCは恥をかくことになるが、主催者を心変わりさせるには遅すぎた」
などと解説。長官発言が大会中止につながることには否定的だ。
ただ、ここまで踏み込んだ論評は珍しく、国外報道の多くが
「天皇は政治的権力を持たないが、日本では象徴として広く尊敬されている。公の場で発言することはまれだ」(ロイター通信)
といった背景を解説する内容だ。そんな中でも、
「政治に介入することができない天皇が、宮内庁を通じて国内の懸案に対する自分の意見を言うのは極めて異例だ」(朝鮮日報)
などとして、驚きをもって発言を報じるメディアもある。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)