東京・新宿の繁華街「歌舞伎町」にあるシネシティ広場(旧コマ劇場前広場)が、路上飲みが横行するなど「無法地帯」と化している。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、新宿区の職員らが巡回して注意しているものの、イタチごっこ状態のようだ。
オリンピックをやろうと、大勢の若い男女らがグルグル走り回る
1か月後に迫った東京五輪を巡り、新宿の都庁前では2021年6月23日夕、開催に反対するデモが行われた。
デモ隊は、歌舞伎町入口付近まで行進したが、一部の若者らには、自粛続きへの反抗心が芽生えたのだろうか。同日深夜には、オリンピックをやろうと、大勢の若い男女らが笑い声を上げながら、シネシティ広場内をグルグル走り回る様子を撮った動画がツイッターに投稿された。
この広場は、付近の施設の名前を取って「BLAZE前」と呼ばれることもある。その単語でネット検索すると、若者らが路上飲みして騒ぐ画像や動画がいくつも上がっていた。
それらを見ると、2人に担ぎ上げられた若い男性がタンバリンを叩いてふざけたり、外出自粛を呼びかける小池百合子都知事を大声で揶揄したりする様子が確認できる。
この場所は、広場といっても、歩行者が利用できる区道に当たる。区や新宿署では、「公道」だとして、座り込んだり、寝そべったり、ゴミを散らかしたりする行為は、道交法・道路法違反に当たり禁止するとした警告の貼り紙も出していた。貼り紙では、これらの行為を見つけたら、110番通報をするよう呼びかけている。
歌舞伎町商店街振興組合の担当者は6月24日、J-CASTニュースの取材に対し、広場の現状をこう話した。
「フェンスで囲うのは難しく、職員らのパトロールで対応」
「昔は、路上生活の方が昼間でも、20~30人ぐらい集まってお酒を飲んでいました。コロナの感染が広まってから、食べ物を差し入れする支援者らが少なくなって、若者たちが加わるようになった形ですね。歌舞伎町では、あちこちで路上飲みが見られ、ここだけが特に目立つわけではありませんが、座り込んだりしているのを注意しても、しばらくして戻ってきたりして、イタチごっこが続いています」
今後の対策などについては、こう指摘した。
「高田馬場駅前のようにフェンスで囲ってもいいかもしれませんが、広場の西側で東急が高層ビルを建設しています。2022年末にオープンするときは、広場はビルのエントランスのように、出店が並んだり、イベントが毎日行われたりして、かなり変わるのではないかと思っています」
新宿区の危機管理課では6月24日、広場での路上飲みについて、取材にこう述べた。
「広場に限らず、職員らが巡回して注意していますが、なかなか大変だと聞いています。その場ではいと返事しても飲むのを止めなかったり、いなくなってもまた誰かが来ていたりします」
広場をフェンスで囲うことについては、同課は、否定的な見方を示した。
「高田馬場駅前は、道路上に飛び出た形の狭いエリアだけなので、囲いやすいですが、シネシティ広場のように、面的に広いところを囲うのは、物理的に厳しいものがあります。フェンスは考えておらず、職員らのパトロールで対応しています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)