催涙スプレーでナイフ男「撃退」、緊迫動画がSNSで反響 防犯のプロが本気で検証

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   「催涙スプレー」にはどれほどの効果があるのか――。一般社団法人暴犯被害相談センター(神奈川県相模原市)は、最も優れた護身用品と評し、その効果を示す動画を公開している。

   代表理事の加藤一統さんがツイッターで2021年6月22日、この動画を紹介すると、4万以上の「いいね」が寄せられ大きな話題を呼んでいる。

   J-CASTニュースは23日、加藤さんに催涙スプレーの注意点などを聞いた。

  • 催涙スプレーの効果を検証
    催涙スプレーの効果を検証
  • 座り込むスプレーを浴びた男性
    座り込むスプレーを浴びた男性
  • 催涙スプレーの効果を検証
  • 座り込むスプレーを浴びた男性

催涙スプレーを浴びた相手はどうなる?

   加藤さんは1996年に身辺警備会社に入社。その後、同業2社を経て、2020年に暴犯被害相談センターを設立した。同法人では、相談者に最適な警備・調査会社を無料で紹介している。ウェブサイトやツイッターで、護身や防犯に関する情報も発信している。

    センターには、株主総会の警備やストーキング対策など企業や個人までさまざまな相談が寄せられている。しかし加藤さんによれば、こうした身辺警護の需要に反して、業界や防犯情報の認知度は低いという。

   加藤さんは22日、ツイッターで「思うほどの反響がないんですよね」と過去に撮影した動画を紹介した。「本気で襲う相手に催涙スプレーが効くか」という身体を張った実験動画だ。

   内容はダミーナイフを持って襲いかかってきた暴漢役の男性を、催涙スプレーで撃退するもの。スプレーを浴びた男性は、苦しみに悶えながら地に手をついた。実験は別のペアで2回行っている。2人目の暴漢役は、催涙スプレーを浴びた後も10秒ほど粘ったが、やがて座り込み、その場から立ち上がれなくなってしまった。

「残念ながら、簡単な護身術というのは存在しないのです」

   加藤さんによれば、動画を撮影したのは約15年前。催涙スプレーの効果があまり知られていなかったので、検証するために撮影したという。その際、下記のルールを設けた。

「1.スタート時の双方の間隔は約3m
2.開始は襲撃側の好きなタイミング
3.追い付かれる(ダミーナイフが触れる)か、追えなくなるまで続ける」

   加藤さんは「本当のリアルなシチュエーションは用意できませんでしたが、有用な効果測定になったと思います」と振り返り、動画の見どころについてこう述べる。

「(暴漢役の)二人目が崩れこみながらナイフを投げている点は要注意ポイントです。追い詰められた人間は、刃物を投げるくらいは平気でしますので」

   動画は、ツイッターで約95万回再生され、大きな反響を呼んでいる。多数の感想も寄せられた。加藤さんは、催涙スプレーの効果について「すごく効く」と「効くまでに時間がかかりすぎ」と見方が割れたとしている。

「どちらも正しいと言えますが、はっきりしているのは、今のところ催涙スプレーが最も簡単で効果的な護身用品という事。つまり労力と効果のコスパが高いのです。
そうはいっても、誰もが簡単に使えるわけではありません。残念ながら、簡単な護身術というのは存在しないのです」

   催涙スプレーの効きは人によって異なるうえ、的確に当てられないこともある。そのため暴漢が完全に動けなくなるまでは、スプレーを噴射しながら逃げ続けることも重要だ。

催涙スプレーを浴びた暴漢役の経過は?

   加藤さんによれば、暴漢役はみずから進んで役を引き受けてくれたそうだ。彼らは、その後無事だったのだろうか。

「2人目は頑張りすぎたせいで、催涙成分を多く浴びました。そのためと思いますが、完全回復に2時間以上かかっています。あと相当暑い日におこなった事も影響したかもしれません。毛穴が広がると成分を吸収するので」

   あまり催涙スプレーを浴びなかった1人目は、約30分で目が開くようになり、45分後にはほぼ回復したとする。

   このように強力な効果が実証された催涙スプレーであるが、携帯には注意が必要だ。加藤さんは、護身用品は「買うのはOK、持ち歩きはNGというのが実情」だと持論を述べる。

「軽犯罪法上は『正当な理由なく~携帯していた者』と規定されていますが曖昧すぎます。実際の判断は、現場の警察官にゆだねられており、たいてい正当な理由とは認められません。
つまり身を守るため持ち歩く必要があっても、法的にはほぼアウトと認識する必要があります。ほぼと言ったのは稀に認められることもあるからです」

   加藤さんは、「客観的に見ても正当な理由で護身用品を必要としている方は少なくない」として、「持つリスクと持たないリスク」を考え、自己責任で携帯すべきか判断するしかないと述べる。

   一方で、誰でも手軽に携帯できる護身用品もある。

おすすめの護身用品は「防犯ブザー」

   加藤さんは護身用品として「防犯ブザー」を強く勧める。

「効果に対して懐疑的な意見もありますが、防犯ブザーは一定の防犯効果が期待できます。
とくにお子さんは見える場所に目立つようにぶら下げるべきです。
防犯性とは比較で決まります。付けている子の方が狙われにくいのは間違いありません」

   防犯ブザーに対する正しい知識を習得し、使用練習が必要だと訴える。使い方などは加藤さんのツイッターや暴犯被害相談センターの公式サイトでも紹介している。

   加藤さんは最後に、日ごろからの心掛けが大事だと述べた。

「護身や防犯に完全な正解は存在しません。同じ手がすべての相手に通用するとは限らず、場合によっては逆効果になることもあるからです。
防犯の基本は直感と心掛けです。
正すべき場所で姿勢を正し、周囲を見るべき場所では見るように心掛ければ、多くの災難は避けられます。そういった意味でも、歩きスマホなどは、危険センサーをオフにしているも同然と言えます」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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