「北品川駅でお待ちのお客様へ」。一見何でもない内容の駅の張り紙が、ネット上を中心に大きな注目を集めた。
実は、振り込め詐欺などの特殊詐欺対策になっている、というのだ。掲出された場所は京急電鉄の北品川駅(東京都品川区)だが、一体どうしてこれが「詐欺対策」なのか。そしてなぜ北品川駅という小駅が選ばれたのか。京急電鉄に聞いた。
機転の利いた文面に称賛
北品川駅の張り紙は、あるツイッターユーザーが2021年6月19日に紹介したことで話題となった。
駅長名義で掲載されたその文面は
「多額の現金をお持ちで、息子さんやお孫さんと、北品川駅でお待ち合わせのお客さま!! 伝言がございますので、駅事務室へお越しいただき、駅係員にお声掛けください!」
というもの。
「多額の現金」「息子さんやお孫さんと」文面のこういった内容から、特殊詐欺対策ではと感づいたネットユーザーがこの機転を称賛、詐欺被害者の心理を見抜いた「神対応」だと話題を呼んだ。
6月21日、現地で張り紙を確認したが、駅の跨線橋に複数枚張られており、上下線どちらの電車を利用しても利用者の目につくようになっている。
しかしなぜ北品川駅なのだろうか。
京急電鉄が発表している19年度の乗降人員数では、1日平均9538人で全73駅中53番目の順位。各停しか停まらない駅でもある。そのため、「利用者が少なく目立ちにくい」「京急沿線での摘発事例が多い」といった憶測もネットユーザーからなされたが、本当のところは。