「容認化」進むのは「基地問題について、具体的に学ぶ機会が少ないことが要因」
そんな中で、今後の世論に影響を与えそうなのが若者の動向だ。その傾向の一つを表していると言えそうなのが、沖縄歴史教育研究会が県内の高校生を対象に、5年に1回行っているアンケートだ。最新の調査は19年11月~20年3月にかけて、県内の高校2年生、約1650人を対象に行われた。
「沖縄に基地があることについて、どう思いますか」という問いでは、10年には「全面撤去すべき」と答えた人が24.4%いたが、15年には9.6%に減少。20年にはさらに減って8.3%になった。「整理・縮小すべき」を選んだ人は41.9%→52.4%→52.5%と推移。「今のままでよい」は15.2%→22.1%→21.5%だった。「わからない」は、16.5%→13.7%→15.7%と大きな変化はなかった。
「全面撤去すべき」と「整理・縮小すべき」の合計で見ると、66.3%→62.0%→60.8%と右肩下がりで、調査結果の報告書では、
「若者の基地の容認化が進んでいる証であろう。基地問題について、具体的に学ぶ機会が少ないことが要因として考えられる」
と分析している。
辺野古をめぐる問いでは、さらに「容認化」が顕著だ。「普天間基地の移設場所について、どう思いますか」という問いに対して、「国外・県外に移設すべき」と答えた人が10年は46.8%いたが、15年は36.4%に。20年には29.8%になった。「辺野古に移設したほうが良い」は3.7%→8.8%→10.2%と増加を続け、「現在のまま普天間でよい」は14.8%→20.7%→16.3%と、5年ごとに増減がある。ただ、「わからない」という回答は32.7%→36.0%→43.7%と右肩上がりだ。
報告書では、「わからない」が増えた背景について
「こうした(基地問題が進展しないという)理不尽ともいえる現実を前に、多くの高校生が即答できず、悩んだ挙句のすえ『わからない』を選択せざるを得なかったのだろう」
などと言及。それ以外にも、(1)米軍基地の成立過程(歴史)やその役割を知らないこと(2)そのため普天間基地の危険性をよく理解していないこと(3)沖縄経済が基地依存で成り立っているという誤った認識を持っていること、などを挙げている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)