指導医には「敬語」
このほか、「3話くらいでもいいから『てかなんでタメ口なんだよ?』って成瀬につっこんでほしい 周りも視聴者も『今なの?』っていうタイミングで」と、田中さん演じる成瀬に視聴者を代表してツッコむことを期待する声が上がるなど、第1回を見た視聴者から続々と上がった「タメ語」への疑問。
今後、作中で出演者の言葉遣いが変化していくのか否かは分からないが、本作に限って言えば、必ずしもタメ語は設定ミスではないのではないだろうか。それは、夜間診療に配属された5人は、1つのチームの「隊員」だと考えられるからだ。
それが証拠に、第1回のラストで桜庭は、いったんは夜間チームから離れることを決めた深澤が、指導医である本郷亨(沢村一樹さん=53)に残留を申し出た際に、それを本郷に受け入れさせるべく桜庭が放った一言は「いいですよね、本郷先生」だった。つまり、桜庭は指導者たる本郷にはきちんと敬語を使う姿勢を見せており、その一方で、同期、いや、チームの隊員にはタメ語を使っているわけであり、決して見境なくタメ語を使っているわけではないのである。そう考えると、桜庭が言う「同期」は一般的な意味というよりも「チーム」という意味で使われているとも考えられ、それならば、タメ語もそれほど不自然とは言えないだろう。
さらに言うならば、夜間チームの5人の関係性、そして、それを指導する本郷と5人との関係性というものが、どこかで見たことがあるということに気付かないだろうか。そう、本作の5人は、例えるならば、「秘密戦隊ゴレンジャー」なのである。
同作は1975年に放送を開始した「スーパー戦隊」シリーズの第1作。同シリーズは現在にわたるまで新作が制作され続けている人気シリーズだ。そのフォーマットは時代が下るにつれて多様性が増していったものの、その一方で、初期の作品においては、「悪の組織と戦う隊員5人」が、「隊員5人を指揮する監督的存在」からの指導を受けつつ、実際に悪の組織のメンバーを倒していくというものだったのだ。その隊員5人はさまざまなバックグラウンドを持ちつつ結集したメンバーであり、リーダーこそいるものの、その立ち位置は同格だった。
翻って、「ナイト・ドクター」だが、主演たる波瑠さんをメインメンバーとしつつチームが存在し、本郷からの指導を受けながら「ケガ」や「病魔」と戦うというストーリーが今後も展開すると見込まれるわけであり、そう考えると、「ナイト・ドクター」はまさしく、「医療戦隊ゴレンジャー」と言えるのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)