HKT48の宮脇咲良さん(23)が2021年6月19日、マリンメッセ福岡A館(福岡市博多区)で卒業コンサートを開き、10年間にわたるHKT48メンバーとしての生活に幕を下ろした。
終盤には、卒業生の指原莉乃さん(28=19年卒業)、「はるっぴ」こと兒玉遥さん(24=19年卒業)がサプライズで登場し、宮脇さんと兒玉さんがダブルセンターを務めた「12秒」(15年)をパフォーマンス。約4000人の観客を驚かせた。
2人は宮脇さんにとって、それぞれ「恩師」「盟友」とも言える存在。宮脇さんが日韓合同ユニットIZ*ONE(アイズワン)の活動で日本を離れていたことや、兒玉さんが長期間休養していたことで、3人の共演ができない状態が長く続いていた。つまり、指原さんにとって、過去のマリンメッセ公演は「どうしても悔いがあった」「みんなやっぱり、当時悔しかったと思う」。宮脇さんの卒業という節目で3人がそろってステージに立てたことで、指原さんは「やっぱり咲良とこうやってまた...ね!マリンメッセに立てるのは本当に嬉しい」と涙を見せた。
指原さんは2年ぶり、兒玉さんは3年半ぶりのHKT48ステージ
HKT48がマリンメッセでコンサートを開くのは、19年5月の「指原莉乃11年ありがとう!大感謝祭」コンサート以来、2年ぶり。指原さんがHKT48のステージに立つのも、この時以来だ。兒玉さんはさらにブランクがあり、17年11月の6周年記念公演以来、3年半ぶりだ。
兒玉さんは宮脇さんと同じ1期生で11年にデビュー。グループで指原さん、宮脇さんに次ぐ人気メンバーとして知られ、16年のAKB48グループの選抜総選挙では9位に入った。17年初めから体調を崩し、同年2月に活動を休止。4月にいったん復帰したものの、12月から長期休養が続いた。そのままグループに復帰することはなく、19年6月にグループ卒業と、女優として芸能活動を再開することを発表していた。
この間、兒玉さんの復帰を待ち望む声は多かった。18年5月にマリンメッセで開かれたコンサートで披露した「2018年の橋」の演出では、それが反映された。兒玉さんが休養する直前に発売されたHKT48のファーストアルバム「092」(17年12月発売)に収録されている楽曲で、指原さん、1期生の宮脇さん、兒玉さん、2期生の朝長美桜(ともなが・みお)さん(23=20年卒業)、田島芽瑠(たしま・める)さん(21)が担当している。コンサートでは、兒玉さん以外の4人で披露。背景の画面には兒玉さんが大きく映し出され、指原さんや宮脇さんは大粒の涙を流した。
IZ*ONE の活動が本格化していたこともあって、19年4月に横浜市内で開かれた指原さんの卒業コンサートには宮脇さんも参加できず、ビデオメッセージを寄せるにとどまった。指原さん、朝長さん、田島さんの3人で歌い上げた「2018年の橋」では、指原さんが涙をこぼす2人を次々に抱きしめ、
「はるっぴと咲良に、届きますようにー!」
と声をあげた。直後の19年5月にマリンメッセで行われた「感謝祭」コンサートも、2人は参加しなかった。
「やけに最終回っぽいメンバーになっちゃったけど...!」→「最終回ではないから...」
それだけに、特に18年のマリンメッセコンサートは、指原さんにとって悔いが残るものだった。今回のコンサートで、指原さんが「やっぱりマリンメッセ、咲良がいて、私がいて...というツアーの時に...」と切り出すと、宮脇さんも「んー、思い出しますね...!」。指原さんは3人の共演が実現したことを、しみじみと語った。
「やっぱり(兒玉さんの立ち位置を)埋められない時があったから、どうしても悔いがあったのもあって、やっぱり咲良とこうやってまた...ね!マリンメッセに立てるのは本当に嬉しいし、みんなやっぱり、当時悔しかったと思うけど、よく頑張ってここまで来れたし...」
かつてのスリートップが久々に一堂に会する構図に、指原さんは思わず「なんかすごい、やけに最終回っぽいメンバーになっちゃったけど...!」。直後に
「最終回ではないから、みんな咲良が見せてくれた景色を忘れないように、次に続けたらいいなと思いました」
ともフォローした。
一方の宮脇さんは、指原さんの卒業コンサートに出られなかったことを「本当に申し訳なくて...」と悔やんだが、久々の共演を喜んだ。
「でも、今、私の卒業コンサートで、こうやって、また、はるっぴもいて、奈子(宮脇さんと同様にIZ*ONEで活動していた矢吹奈子さん=20)もいて、みんなでもう一度ステージに立てたことが本当に嬉しく思いますし、本当に来てくれて、二人ともありがとうございます」
兒玉さんをめぐる事情は少々複雑だ。兒玉さんが卒業発表に選んだのは日刊スポーツのインタビューで、卒業コンサートや本拠地の劇場での卒業公演も行われなかった。ファンの前に姿を見せることなくグループを去ったことに、割り切れない思いを抱くファンも少なくなかった。
この点を見越していたのか、兒玉さんは卒業を発表したインタビューで、
「突然の発表になってしまったこと、皆さんに長い間会えることができず申し訳なく思っています。ただ、この休養期間は心身ともに回復する為、次のステップへ進む為に必要な時間でした。このような形でアイドル活動に終止符を打つこと、沢山悩みました」
などと説明。21年4月になって、休養の原因がそううつ病だったことを公表している。
「ずっとずっと一緒にここで戦ってくれて、HKTを引っ張ってくれて...」
そんな兒玉さんに対して宮脇さんがかけたのが、
「横にいる、はるっぴを久々に感じたときに、長い間一緒にステージには立てなかった期間はあったけど、今日来てくれて本当にうれしかったし、ずっとずっと一緒にここで戦ってくれて、HKTを引っ張ってくれて本当にありがとう」
という、ねぎらいの言葉だった。兒玉さんは
「卒コンをやっていなかったので、ちょっと変かもしれないけど、あいさつができて、悔いなくこれからも頑張れます」
と応じ、終演後に改めてツイッターに感謝の言葉を書き込んだ。
「メンバーにもHKT48のファンの皆さんに最後のご挨拶をできていなかったのが心残りで悔いが残っていたので今日の景色を見られて本当に幸せだっだ(原文ママ)10年間本当にお疲れ様。ずっとずっと私にとって特別な存在だよ!」
指原さんが「やけに最終回っぽいメンバー」と口走ってしまったように、かつてのスリートップがグループを離れることで、グループは大きな節目を迎えている。この点は宮脇さんも意識しているとみられ、6月14日にHKT48が「CDTV ライブ! ライブ!」(TBS)に過去のヒット曲で出演した際には、番組スタッフに「HKT、新曲もすごくいい曲なので、またお願いします」と売り込んだ。
これをステージ上で明かしたのが、同期で親友でもある村重杏奈さん(22)。反省の弁まじりに宮脇さんを
「同期として、村重は、やっぱりそういうことができなかったから、すごい尊敬するし、友達としても大好きだし...」
とたたえると、宮脇さんも村重さんのグループへの貢献をたたえた。
「村重がHKTに与えてくれている力は本当にすごいとことだと思うから、いつもみんなのために頑張ってくれてありがとう」
今後に向けた意気込みを語ったのは田中美久さん(19)。終演後の幕が下りた状態で行う「影アナ」と呼ばれるあいさつで、
「さくちゃんが卒業するのはさみしいんですが、さくちゃんの背中を見て学んだことをこれからのHKTにつなげていけるように、みんなで力を合わせて頑張ります!」
と誓っていた。
宮脇さんの今後をめぐっては、韓国の大手事務所移籍など様々な観測が報じられるが、現時点でははっきりしない。6月27日に卒業後のイベントとして西日本シティ銀行HKT48劇場(福岡市中央区)で開かれる「壮行会」で、宮脇さん本人が説明する可能性もある。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)