総合格闘家の扇久保博正選手(34)が2021年6月17日、格闘技イベント「RIZIN28」でクレベル・コイケ選手(31)と戦い、三角締めで失神KO負けした朝倉未来選手(28)について「朝倉選手は逃げようとしていたんだと思う」などと持論を展開した。この試合では、朝倉選手が「タップしなかった」ことについて賛否の声があがっていた。
「朝倉選手も完全に入っていたんでしょうけど......逃げようとしていたんだと思う」
扇久保選手は「RIZIN28 朝倉未来vsクレベルコイケ タップ問題について」と題した動画をユーチューブで公開し、13日に行われた試合をめぐる論争に持論を展開した。
各メディアによれば、朝倉選手は試合前に「タップをしない」旨の発言をしていたという。実際に試合でもタップせず失神KO負けを喫した。
朝倉選手の一連の行為には「簡単にギブアップしない姿がかっこいい」という賞賛の声もあれば、「無茶な試合続行は命の危険を伴う行為であり、避けるべき」と疑問視する声もある。
スタッフにことのあらましを聞いた扇久保選手は、「何が問題なんですかね?」と考え込み、「スパーリングや試合で三角締めを食らった場合、一瞬ではタップしない。じわじわ効いてくる技」として現役選手ならではの視点で解説した。
「チョークだと入った瞬間にもうダメだとタップする。三角締めだと、入ってもまだ大丈夫、逃げられる、という感じ」
朝倉選手も同じように、三角締めを決められた時点では意識があり、起死回生のチャンスを狙っていたのではと語った。
「僕が思うには、多分朝倉選手も完全に(技が)入っていたんでしょうけど、まだ逃げられると思っていたと思うんですよ」
実際に三角締めで失神したことがあるという扇久保選手は、このように朝倉選手の状況を推察していた。
「僕も三角締めで落ちたことがある。まだ大丈夫だと思ってたら、気付いたらもう(失神して)みんなに起こされていたってパターン。実際どうだったかは本人しか分からないが、朝倉選手は逃げようとしていたんだと思う」
「落ちたから『侍だ(と称賛する)』のもおかしな話」
また、「タップをしない」という発言の趣旨についても解説。不利な状況から巻き返そうとする格闘家としての前向きな気持ちの表れであり、無茶な行為というわけではないとしている。
「『簡単にタップしないよ』というのはそういうことだと思うんですよ。ただやられるがままにボキボキって(骨を)折られるっていうわけじゃなくて、形入っても最後まで相手のこと倒すつもりで逃げて、やってやるぞ、という風な意味だと思う」
実際、朝倉選手は13日の試合前インタビューで、記者からタップをしないと決めている意図を問われ、「結構昔に、『簡単に俺たちはタップしない、格闘技の試合でタップしてすぐ終わって諦めるような兄弟(弟は格闘家の朝倉海選手)じゃない』と言ったのを切り取られて今回当てはめられている。まあそんな簡単にタップはしない、どちらにしても。(中略)一本取られそうになっても最後の瞬間まで逃げることを努力します」と発言していた。
扇久保選手は、隙を狙って闘争心を燃やし続けた朝倉選手のことを批判する声と、失神したことについて賞賛する声のどちらにも再考の余地があると語っている。
「最後まで諦めずに勝利を信じて戦っていた朝倉選手のことを、『タップしなきゃダメだ』とか言うのは、僕はちょっと疑問に思います。ただ落ちたから『侍だ(と称賛する)』のもおかしな話。落ちなきゃ侍じゃないのか、というのも変な話」
格闘家としてリング上で闘っている扇久保選手ならではの見解に、ファンからは納得したというコメントが多く投稿されている。
「なるほど? やっぱり格闘家じゃないと解らないことだらけですね」
「朝倉タップ問題では扇久保選手の意見が1番的確だと思う タップしない侍とかスポーツなんだからタップしろとか みんな極端なんだよな」
「絞め技を食らった経験が無かったから新しい知見が得られてすごく参考になりました。おぎちゃんありがとう!」