東京五輪に出場する野球日本代表「侍ジャパン」内定24選手が2021年6月16日に発表された。
投手11人、野手13人が選出され、広島から最多となる5人が選出された。巨人、ソフトバンクからは3人、阪神、ヤクルト、楽天、オリックス、西武からそれぞれ2人が選出され、中日、DeNA、日ハムからは各1人ずつとなった。12球団の中で唯一ロッテから選出がなかった。
今季状態上がらない選手も名を連ね...
「侍ジャパン」メンバーリストには、リーグを代表するそうそうたる名前が並んだ。投手陣では楽天・田中将大、巨人・菅野智之、中日・大野雄大らが代表入りし、野手では巨人・坂本勇人、ヤクルト村上宗隆、ソフトバンク柳田悠岐、広島・鈴木誠也らが名を連ねた。
侍ジャパン公式ユーチューブでライブ配信された会見のなかで、稲葉篤紀監督は選手を選出にあたって重視したポイントについて「いい選手を選ぶのではなく、どうやったらいいチームを作れるか」と語り、「このメンバーで金メダルを取っていけるだろう」と自信をのぞかせた。
今回のメンバーには代表での「実績」、「経験」が豊富な選手も多く、自国開催の重圧のなかで頼れる存在となる。だが一方で今季、状態が上がらない選手も代表入りしており、ファンからは不安の声が上がっている。
そのひとりが菅野だ。右肘の違和感で5月8日から約1カ月間、戦列から離れていた菅野は6月6日の日ハム戦で復帰したが、5回2失点で負け投手に。13日のロッテ戦では3回途中でKO。4月23日の広島戦から白星が遠ざかっており、ここまで2勝4敗。そして代表入りが内定したこの日午後、出場選手登録を抹消された。
稲葉監督「最適な組み合わせだと私は思っております」
また、15日の西武戦で左足を負傷して途中交代した曾澤翼捕手もこの日、出場選手登録を抹消され、メンバー発表当日に代表2選手が登録抹消する事態となった。
投手陣でいえば、阪神・岩崎優、巨人・中川皓太らがここ最近、調子を落としている。岩崎は5月下旬から不調が続き、セ・パ交流戦では3敗を喫した。中川もここ最近の試合で打ち込まれるシーンが目立ち、6日の日ハム戦で2失点(自責0)、8日のオリックス戦では3失点を喫している。
野手では、日ハムの近藤健介が今季、ここまで打率.275と本来の力を発揮できないでいる。近藤は捕手の経験もあり、不測の事態の「保険」として貴重な存在でもあるが、昨季リーグ3位の打率.340を考えると、今季は物足りない数字となっている。
今回のメンバーを6月上旬に決定したという稲葉監督は、「最適な組み合わせだと私は思っております」と自信を見せ、現状調子が上がっていない選手については「状態に関してはこれらから1カ月ありますから。今正直状態がそんなに良くない選手の中でもこの1カ月で体の状態が上がってくると信じております」と力強く述べた。
巨人・岡本、阪神・佐藤を熱望するファンも
「侍ジャパン」のメンバー発表は大きな注目を集め、ツイッターでは「#侍ジャパン」がトレンド入りし、様々な意見が飛び交った。
その中には今回のメンバー選出は「実績・経験」を重視したのではないかとの指摘もあり、調子が下がっている選手のメンバー入りを危惧する声も。また、打点リーグトップの巨人・岡本和真や阪神の大物ルーキー佐藤輝明のメンバー入りを願っていたファンも多かったほか、パ・リーグトップのセーブをマークしている楽天・松井裕樹の選外に首をかしげるファンもいた。
五輪本番に向けてクリアすべき課題が浮き彫りとなり、不安要素はあるものの稲葉監督はあくまでも前向きな姿勢を貫き、「日の丸を背負うことに関して熱い思いを持った選手の集まりだと。結束力を感じている」と語った。