「状況が切迫している」北朝鮮で食糧危機 正恩氏危機感あらわ、コロナ禍が原因か

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洪水や暴風雨による減産分を、作付面積が増えたことで補う

   ただ、国連食糧農業機関(FAO)が6月14日付けで発表した、北朝鮮の食糧事情に関する報告書では、やや違う見方をしている。報告書では、20年の主要穀物の収穫は、洪水や暴風雨による減産分を、作付面積が増えたことで補うことができたとみている。さらに、20年11月~21年10月の食用作物の生産量も、例年の560万トンに近い水準だと予測している。ただ、この生産量は食糧を自給できる水準には遠く、問題は輸入だ。20年11月~21年10月の1年間に、例年並みの106万3000トンの輸入が必要だと試算されているが、北朝鮮が輸入を計画しているのは20万5000トンに過ぎない。85万8000トンが不足する見通しで、これは北朝鮮で必要な食糧の2、3か月分にあたる。報告書では、

「もし、この差分を輸入や食料援助で十分に埋められない場合、21年8月から10月は、一般家庭にとって厳しい時期になる可能性がある」

と警告している。

   北朝鮮は新型コロナの感染拡大が本格化し始めた20年1月から、中国との国境を陸路・空路ともに閉鎖している。ただ、21年3月から海路での貿易を一部再開している。総会では、新型コロナへの対応も議題になっている。国営メディアは正恩氏の支持を次のように伝えており、水際対策と、食料輸入をはじめとする貿易再開とのバランスに苦慮している可能性もある。

「現在の状況に即して国家的に防疫態勢を完璧に堅持し、経済指導機関が非常防疫という不利な環境の中で、それに即して経済活動を緻密に手配することに関する課題を提示した」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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