かつてのバカッター騒動の時は静止画で拡散していたが、今は動画が主流
まず、井上氏はバイトテロの最近の傾向について、以下のように指摘した。
「バイトテロはその時代に流行っているSNSに依拠する形で広がるので、そのSNSの名前を冠した別名が付けられます。2013年7月に発生したコンビニ店員によるアイスの冷凍庫に侵入した姿を撮影した写真をはじめとする一連のバイトテロはツイッターにちなんで『バカッター』と呼ばれていました。ただ、時代は下って、今は動画が普通に撮影できる時代であり、このため、バイトテロの主流はインスタグラムの『ストーリーズ』にアップされた動画であり、まさに、『バカスタグラム』全盛の時代と言えるでしょう」
つまり、形を変えつつも一部ネットユーザーの愚行はネット上で拡散され続けているというわけだ。ただ、それにしても、この手の「日常茶飯事」と化したバイトテロがいまだに人々に注目されるのはなぜなのだろうか。この問いに対し井上氏は、大手企業のチェーン店で行われており、誰もが利用する可能性があるという「普遍性」が人々の注目を集めやすいという点がまずあるとしつつ、それに加え、この時代ならではの点もあると指摘した。
「新型コロナウイルスの流行が長期化、かつ、慢性化している点は無視できないと思います。あくまで私見ですが、やはり、コロナ流行の初期はバイトテロの件数自体が減ったように感じておりますし、緊急事態宣言の発出が繰り返される中、やはり、『コロナに飽き飽きしている』という感情は日本人に『蔓延』しており、そうなると、これらのバイトテロが退屈になってしまった日常における『清涼剤』として機能している面は否定できないと思います」
「さらに言うと、長引く自粛生活の中で時間を持て余した、今までネットにそれほど触れていなかった人々がバイトテロの動画を見てしまうと、これらの人々にしてみればバイトテロは『新鮮』な騒動なので、『けしからんことが起きている』と怒りに震えつつ動画を拡散してしまうという要素もあると思います」