国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長が2021年6月15日、羽田着の航空機でオーストラリアから来日した。
スポーツ各紙の報道によると、コーツ氏は到着翌日から3日間の隔離期間を経て大会の準備作業に入り大会終了まで日本に滞在するという。コーツ氏は東京五輪・パラリンピックの準備状況を監督する調整委員会の委員長でもあり、大会開催向けての準備が加速しそうだ。
東国原氏「あれだけ日本国民の感情を逆撫でしといて」
コーツ氏は5月21日の調整会議において、緊急事態宣言下での五輪開催について「答えはイエスだ。我々が示している対策を実行すれば、安全安心な開催はできる」とコメントし、日本国内でこの発言がニュースで報じられると、ネットでは、その強硬な姿勢に批判の声が上がった。
米メディアから「ぼったくり男爵」と揶揄されたIOCのトーマス・バッハ会長と並び、日本国民に対して配慮を欠いた発言をしたコーツ氏に対する反発は根強く、今回の来日も歓迎ムード一色ではないようだ。
元宮崎県知事でタレントの東国原英夫さんは15日のツイッターで、コーツ氏の来日について言及。「ジョン・コーツ(調整委員長)来日って。やっぱり来るんだ?あれだけ日本国民の感情を逆撫でしといて」と嫌悪感を露わにした。
菅首相「強力な選手団を派遣してほしい」
コーツ氏が来日したことで五輪開催への準備に拍車がかかりそうな気配だが、五輪開催に向けての「外堀」は埋まりつつある。
先進7カ国首脳会議(G7サミット)が6月11日に英南西部コーンウォールで開幕。報道によると、菅義偉首相は東京五輪・パラリンピックの開催に向けて決意表明し、「世界のトップ選手が最高の競技を繰り広げることを期待している。強力な選手団を派遣してほしい」と各国首脳に求めたという。
これに対してG7サミットは13日の首脳声明で、東京五輪・パラリンピック開催への支持を表明。菅首相はサミット閉幕後、記者団に対して東京五輪を成功に導く決意を新たにしたという。
舛添氏「強い選手は将来を狂わす危険性のある感染国に...」
G7サミットの「支持」を得たことに関して組織委員会の橋本聖子会長は「大変心強い思いです」とコメントを発表。一方で、前東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏は15日にツイッターで、G7サミットにおける菅首相の各国首脳への要請について持論を展開した。
舛添氏は「菅首相は、G7サミットで東京五輪開催の決意を示し、『強力な選手団派遣を!』と要請した。五輪には各国の最強の選手団が来るはずなのに、なぜ言ったのか。それは強い選手が来ない可能性を認識しているからだ。強い選手は、将来を狂わす危険性のある感染国に行きたがらないからだ。五輪神話はもう崩壊」とのコメントを投稿した。
G7支持のもと「外堀」が埋まりつつある東京五輪。それでも開催に向けた逆風は吹き続けている。このような中でコーツ氏の日本での動向にも注目が集まる。IOCのバッハ会長は7月中旬の来日を予定している。