JR東日本は2021年6月13日、「三連休東日本・函館パス」の発売を今年度分から取りやめると発表した。
前身の「三連休パス」から20年近くにわたって発売されてきた東日本エリアのフリー切符だったが、2020年をもって販売を終了。鉄道旅行の自由度が減ってしまうかもしれないとトラベラーの間に波紋が広がった。
グループでもソロでもOK
「三連休東日本・函館パス」は2020年まで毎年3連休シーズンに利用可能で、JR東日本の全エリアとJR北海道函館エリアの普通列車に乗り放題、かつ特急券購入により新幹線・特急にも乗車可能な切符だ。さらにかつてJR線だった一部の第3セクター鉄道も利用可能だった。2020年度は大人1万4370円、小児4390円で発売された。
いわば東日本エリア版の「青春18きっぷ」のようなフリー切符で、かつ優等列車への乗車条件は青春18きっぷよりお得だったが、前身の切符「三連休パス」に比べると使用条件は厳しくなっていた。
2001年に発売が始まった三連休パスではJR東日本全エリアとJR北海道函館駅以南をフリーエリアとし、新幹線・特急・急行の普通車自由席が乗り放題であった。三連休パスが2010年度に「スリーデーパス」に発展した際に見直され、発売価格が値下げされた一方で新幹線・特急の乗車には別途特急券の購入が必要になった。以後、名称の変更や北海道新幹線の開業を経つつも、三連休期間に使いやすい切符として利用されてきた。
条件の変更がありながらも20年近くにわたって利用されてきた背景には、切符の自由度が高く年齢制限もなく1人から使えたことにある。グループでもソロ旅行でも使える切符として、3連休期間や秋のシルバーウィークには旅行者も鉄道ファンも重宝する切符だった。
このため、これからの夏・秋の連休シーズンに三連休東日本・函館パスで旅行の計画を立てていたユーザーからは「ショック」という声も相次いだ。
類似切符は?ルールを比較
北海道・東日本エリアの類似のフリー切符には「北海道&東日本パス」と「週末パス」が挙げられる。
北海道&東日本パスは春・夏・冬の指定期間にJR東日本・JR北海道の全線が7日間乗り放題の切符でこちらも青春18きっぷのような性格を持つが、新幹線・特急には使用できない(北海道新幹線新青森~新函館北斗間を除く)。
週末パスはGW・お盆・年末年始を除く土休日2日間にJR東日本のおおむね宮城・山形以南のエリアが乗り放題になる切符で、新幹線・特急も別途料金を支払うことで乗車できるが、北東北エリアが対象外になっている。
類似の切符と比べてみても、なかなか休みが取りづらく、かつお盆や年末年始の最繁忙期を避けたい現役世代にとっては三連休東日本・函館パスは一人旅でも使い勝手のよい存在だった。それだけに、今回の廃止を痛手と感じるトラベラーは少なくないようだ。